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時代の変化により、新たな志向で選ぶ卒業記念品!  

2012年 9月 24日  <10面>

 “人生の節目”であり、思い思いの進路に向かって歩き始めるステップでもある卒業。そして、これを祝い、卒業生から学校へ、学校から卒業生へ、感謝の意を込めて贈られるのが「卒業記念品」である。しかし、時代の変化や価値観の多様化が進む中で、その扱いや選定に頭を悩めている学校も多い。そこで秋の訪れとともに選定時期を迎えた学校現場に向けて、新しい視点による卒業記念品の情報や選定のポイントについて紹介する。

選定は今から、早めの準備を
 学校現場にとって多くの行事が重なる2学期は、毎日が活気に富んでいることだろう。そんな中、この時期に忘れてはならないことの1つに卒業記念品の選定がある。
 なぜなら卒業記念品の製作は毎年12月〜2月にラッシュを迎えるため、あまりゆっくりとしていては欠品や納期不足の恐れも出てくる。したがって、思い出と感謝の気持ちを込めた贈り物として、より良い記念品を贈答するためには、早めに選定することが賢明だ。
 しかも、卒業記念品は小学校から高校にかけてはPTAから予算が捻出されるのが通例であり、その検討や承認などに時間がかかるもの。近年では学校運営費の私費負担についてもさまざまな解釈が生まれていることから、PTAに対して趣旨を十分説明し、その協力を得ることも学校側の大きな負担となっている。これらを踏まえても、今から準備して早過ぎるということはない。
 加えて、学校教育の多様化や個性化が叫ばれるなかで、生徒主導による商品の検討や決定など、これまでの伝統的な卒業記念品に代わる多種多様な可能性が示唆されていること。また、少子化や社会経済的な背景もあり、その選定にはそれぞれの学校の実情に合わせた扱いや創意工夫が求められているところだ。

より実用的な商品にシフト
 こうしたなか、最近の傾向を見てみるとしよう。まず、卒業生から贈られる卒業記念品としては、従来は記念樹やレリーフ、ステンドグラス、絵画、タイル画、屋外時計など学校に感謝の意を示す記念碑的なものが主流だったが、最近では授業や特別活動で活かせるもの=「教育」の視点を盛り込んだ品物を贈るケースが多くなっている傾向がある。
 たとえば、学校にコンピュータが普及したことによって、プロジェクターやプリンター、デジタルテレビ、実物投影機のほか、CDやDVDを使った電子教材などICT教育に関するハード・ソフトウェアも注目されている。特に、学校の備品としては高価でなかなか導入しにくい大判カラープリンターや電子黒板なども人気を呼んでいる。
 また、実用的なものでいえば、これも従来の学校行事に欠かせないテントや紅白幕などに代わり、屋外や体育館でも気軽に持ち運びができるスピーカーシステムなどの音響機器や、静音性に優れ、式典などの際にも使用可能な赤外線暖房機(ジェットヒーター)なども採用されている。
 あるいは、環境への意識の高まりから環境エネルギー教育に利用できるソーラーパネルや風力発電機、気象観測装置といったエコ関連製品や、子どもたちの安全・安心を確保する監視カメラ、無線機、さすまた、児童用ヘルメット、備蓄用品などの防犯・防災関連商品を採用する学校も見られている。

本来の趣旨を忘れずに
 ここから伺えるのは、モニュメント的なものから、より現実的に使える備品へとシフトしていること。つまり、できれば次の新しい生活で使ってもらえて、なおかつ思い出に残るものがいいという発想だ。こうした志向にはグローバリゼーションの波の中で、教育の質的向上や、それに伴う教育インフラの改善が広く求められていることにも起因するのだろう。
 端的にいえば、黒板とペンがあれば済んだ教育の時代から、多様多彩な設備や教材を必要とする今の教育へ変化である。多くの教育機器や教材が必要であり、かつほとんどの学校が充分に整備されているとはいえないなかで、在校生に喜んでもらえる、役に立つ記念品を残そうという志向は、極めて自然な流れであるともいえる。
 それでも、卒業生自らの手によるレリーフなど、贈る側の思いや体温が伝わる記念碑には根強い人気があるのも事実。学生時代の経験は、誰しもが抱える貴重な財産であるとともに、かけがえのない思い出である。故郷を離れて久しぶりに母校を訪ねた時に、そんな記念碑が残っていれば、懐かしい記憶がよみがえるもの。こうした魅力には、いつの時代も変わらぬ説得力があり、伝統を継承する意義や美しさといったものを感じるものだ。
 だからこそ、人はそこにモニュメントを残し、記憶を刻む。卒業記念品の持つ、本来の趣旨といったものを我々は忘れてはならないし、それは次の記憶を継承していく大切な役割なのだから。

人気ののエコグッズ、震災の影響も
 一方、卒業生に贈る記念品の傾向はどうか。一般的に子どもたちに贈る記念品としては、校章や名入りの筆記具やマグカップ、辞書、ペーパーウェイト、折りたたみ傘、ポーチ、時計、フォトフレーム、メッセージ入りクリスタル楯などが挙げられる。新しいところでは、携帯電話の普及に伴う携帯ストラップや携帯充電器のほか、LEDキーホルダー、電波時計、アルミボトルなども候補に挙がってきている。
 高校になると、社会人として巣立つ生徒も多いことから、印鑑や名刺入れ、システム手帳&カバーなども目立つ。実際、今でも高校の時にもらった印鑑や名刺入れを使っている人が多いと聞く。これは、いつも身の回りに置くものであるから、案外長い間使える記念品として重宝するものなのかもしれない。
 また、昨年度からは震災の影響も如実に反映されていることも見逃せない。そのため、万が一の時に使えるLEDライトや手動発電式懐中電灯&ラジオといった実質性が高いものや、環境に配慮したエコグッズ、節電に対応したものが人気になっている。
 地震や津波、原発などの被害により一瞬で建物を崩し、大切な人や故郷そのものを奪い去った出来事は、大人子ども問わず生涯忘れられない記憶として残るだろう。その教訓を生かし、日頃の備えとなる商品を贈ることもまた、この記憶を風化させない、相手を思いやるという意味で大事なものだ。

根強いアルバムづくり
 さらに、根強い人気を誇っているのが、入学時から卒業時までの学園生活を凝縮した手作りアルバムになる。最近では、フォトブックなどインターネットを介してデジタルカメラで撮り溜めた写真を編集してアルバムを作れるサービスも充実していることから、卒業生一人ひとりのオリジナルのアルバムを作ることも手軽になっている。すなわち、その子の学生生活の写真や文集、学習成果などを一冊に凝縮したアルバムが作れるため、ページをめくるとその時の記憶が走馬灯のようによみがえり、「一生の思い出となる最高の卒業記念品!」と評価も高い。
 このような電子記録メディアの進化は、記憶や記録を残す媒体として、DVDやUSBメモリなども含め、かたちを変化しつつ今後も大いに活用されていくにちがいない。
 また、卒業記念品を扱う業者が近年増加していると口をそろえるのが、運動部などクラブ活動を通した記念品の贈答だ。学校教育の中でも、健全な身体と精神を育むクラブ活動が占める役割は大きくなっており、保護者が関与する機会も多くなっている。加えて子どもたちにとっても、人と人の交流や結びつきが希薄になっているなかで、毎日のクラブ活動の中で経験する深い絆は、人間が成長する上で得難い財産となるものだからだ。こうしたことから、独自の思いを込めて卒業する部員に記念品を贈ることが増えているのだという。

まとめ
 自分が学校を卒業した時、どんな記念品をもらったか。あるいはどんなものを学校に寄贈したか覚えているだろうか?
 学校が卒業記念品を決める際の視点として、いつの時代も変わらないのは、「心」が込められたものであるかどうかである。つまり、人生の最も多感な時代を過ごしている子どもたちが、これからどのように生きてどのように成長していくのか―。そのことに思いを馳せ、心を込めて選定するのだ。
 それだけに、より慎重かつ吟味することが求められる卒業記念品には、今の子どもたちに合う時代に沿った意識のもと、選定に努めてほしい。
 できるなら、もう忘れてしまったという人よりも、今でも大事に記憶に残している人の側になりたい。将来、そんなシーンを演出できる、またとない贈り物なのだから。


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