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マンホールトイレの設置を  

2016年 7月 18日  <13面>

「質」を高めることも必要
疾病予防にも効果的

 地震などの災害時には、停電や断水、給排水管・汚水処理施設の損傷などで水洗トイレは使えなくなる。避難所などでもし水が出なくて流れないトイレを使用したら…。「想像したくない」というのが本音だろう。
 「東日本大震災時に実際に起きたことですが、避難所の劣悪なトイレ環境により、感染症が発生したり、トイレを我慢したことでの疾病事例が報告されました。だからこそ災害時に使うトイレ対策は必要不可欠で『健康』と『衛生』に直結するライフラインとして認識する必要があるのです」。特定非営利活動法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事はこう語る。
 災害用トイレは大きく(1)その場に備えるもの(2)外から調達するもの―の2種類に分けられるが、(1)の代表的なものの1つとして、近年国土交通省などが力を入れている「マンホールトイレ」だと指摘する。
 「(2)の場合には交通網の寸断などで、確保しても運んでくるのに時間がかかったり、運ぶことができなかったり…。(1)も下水道本管の被害などで使えなくなる恐れはありますが、貯留型もあること、本管の耐震対策も取られてきており、少しでも可能性が高いものを整備しておくことは必要でしょうね」(加藤代表理事)
 このマンホールトイレ、下水道本管の上部に直結する「本管直結型」や下水道本管に接続する排水管に設置する「流下型」、マンホールまたは汚水ます内に貯留弁などを設ける「貯留型」の3タイプがあって、それぞれ地上部にテントなどの上屋や、便器・便座が備えられる。
 「マンホールトイレは、(1)の避難所の防災倉庫などに備えておくタイプの代表例で洋式便器もあり入口に段差がない。つまり、お年寄りや車椅子の方でも使いやすいという特徴を持っているのです」と加藤代表理事。「照明を取り付けたり、カギをつけたり。日常使うトイレに近い空間=『質』も確保できるという特徴を持っています」という。

食料や水と同様に『命』に直結
 通常「避難所=食料や水の確保」ということが頭にまず思い浮かべるが、加藤代表理事は「確かに食料や水は『命』に直結しますし重要であることは論を待ちません。でもトイレもまた『命』に直結します」と強調する。
 今回の熊本地震の際にも、新聞やテレビのニュースで報じられたが、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)で亡くなる方が目立った。この一因にトイレ問題があるというのだ。
 「熊本地震の際にもそうでしたが『トイレが使えない、汚い→できるだけトイレの使用を我慢する→水分の摂取も控える→結果、血液がドロドロになる→エコノミークラス症候群を発症しやすくなる』という図式です。『質』の高い災害用トイレがあれば水も必要なだけ飲めますし、トイレに行くために歩きます。水分と運動が同時に確保できるので、エコノミークラス症候群にもかかりにくくなります。その意味からも『質』の高いマンホールトイレの整備が必要といえます」
 トイレは重要なライフライン。水や食料と一緒に支援すべきという加藤代表理事。「『質』を高めれば、マンホールトイレはお年寄りだけでなく、女性や子供の使用にもやさしく、今後注目されてくるのは必至だと思います」。ただし緊急時に備えた訓練も必要だという。「例えばマンホールトイレが設置されている学校の場合には、運動会などの学校行事の際に開放し、子どもたちはもちろんのこと実際に保護者や地域住民に使ってもらう。その人たちの多くは、その学校を避難所として使うはずですから、ちょうどよい訓練になるのではないでしょうか」(加藤代表理事)。まさに“転ばぬ先の杖”―。マンホールトイレをぜひとも導入してもらいたいものだ。


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