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全国 数学選手権大会(団体戦)開催!  

2008年 9月 22日  <15面>

第1回 Math Battle Math Live
2日間の“知”のバトル、中高校生が難問にチャレンジ

会場風景

 全国から参加した中・高校生たちが日本一の数学力を競う『第1回全国数学選手権大会〈団体戦〉』(主催=数検財団「数学選手権大会」実行委員会、協力=松下電器産業株式会社)が去る9月14日(日)・15日(祝・月)、パナソニックセンター東京(東京・有明)において開催された。二日間をかけて予選を勝ち抜き、みごと決勝で栄冠を勝ち取った愛知県立時習館高等学校チームの4人を筆頭に、延べ31校のチームが“数学の甲子園”さながらの熱戦を繰り広げた―。

全国から参加した数学の精鋭たちが知力を競う

総合的な資質が問われる
 本大会は、数検財団(財団法人日本数学検定協会、東京葛飾区)が「数検」の20周年記念事業として今年度から開催するもので、生涯学習の観点から、教育、数学、ものづくり、経済のより一層の発展を期することが目的。競技は純粋に数学力を競い合う実力勝負の「Math Battle(マスバトル)」と、連続出場し伝統を作っていくことが最大の目標となる「Math Live(マスライブ)」の2種目がある。
 審査員は、大会委員長の甘利俊一・東京大学名誉教授/理化学研究所脳科学総合研究センター特別顧問、並びに一松信・京都大学名誉教授を始めとする数学識者・現場研究者13人が名を揃える。同財団では、これを機に国民一人ひとりの数学に対する学習活動が大いに盛り上がることを期待している。
 第1回の今回は「中・高校生部門」による開催で、全国からマスバトル24校、マスライブ7校がエントリーした。なお、次回以降は「小学生部門」「中・高校生部門」「無差別一般部門」の3部門による開催を予定している。
 「マスバトル」は24校・チームによる勝ち抜き戦で行われた。その競技方法は、まず1次選抜においてチームの一人ひとりが一定水準に達しているかどうかを選考するために、「数検」の過去問題を解答する。続いて2次選抜は、日本語表現問題20問(「数検」2級の過去問題)に加え、なんと英語による表現問題10問(「数検」準2級・3級程度)を出題し、12チームが選抜される。3次選抜は、各チームのパソコンにUSBメモリで配付された日本語表現問題2問(「数検」準1級程度)と、英語表現問題1問(「数検」準1級程度)により、6チームが決勝にコマを進める。
 そして、いよいよ決勝。これはステージ1〜3の順にチャレンジする。1は与えられた課題に沿って問題・解答をパソコンで創作する。2は他チームが創作した問題(5問)をパソコンで解答・表現する。3は各チームが創作した問題のプレゼンテーションと質疑応答といった多岐多様な審査過程を経て優勝チームが決定する。このように、今大会は単に数学力を競うだけではなく、英語力やパソコンの活用力、さらにはプレゼンテーション能力など、チームとしての総合的な資質が問われるのが特長になっている。
 一方「マスライブ」は、1次、2次、ファイナルライブの順で行われるが、連続出場しながら学習成果を上げ、伝統を作っていくことが目標のため、勝ち負けは決めない。したがって、今回はファイナルライブまで進んだチームを入賞とするとともに、今後連続出場したチームは伝統賞として表彰されていくことになる。
 競技は、1次で「数検」過去問題を行ったあと、2次では参加メンバー全員で1枚の大判用紙にフリーハンドで大中小の同心円を描くというユニークな問題にチャレンジする。これは真円度、美しさ、サイズ、色合いなどが審査基準になるという。ちなみに、この円かき大会で優勝したのは、海星高等学校Bチームだった。そしてファイナルライブでは、合理を問う問題、不合理を問う問題などオリジナルな問題を課題に応じて2〜3題パソコンを使って創作する。

マスバトル優勝校に授与された数鷲旗

チームワークが勝利を掴む
 会場は、参加チームの生徒を始め先生や関係者が一堂に会し、活気にあふれていた。印象的だったのは、常にBGMが流れるリラックスしたムードで対戦が行われていたこと。もっとも、二日間延べ6時間に及ぶ真剣勝負を勝ち抜いていくのだから、始終ピリピリしていたら解ける問題も解けなくなるにちがいない。
 そんな厳しい競技過程をくぐり抜け、みごと「マスバトル」で優勝した愛知県立時習館高等学校は、3年生三人、2年生一人のチーム。決勝は予想にたがわぬ大接戦で、審査も白熱。最終的には応募時に必須だった「知的応援ビデオ」の映像(学校の紹介や大会にかける意気込みなどをまとめた作品)を加味した審査により、優勝校を決定するに至った。
 輝かしい第1回の数鷲旗(優勝旗)を手にした感想を「とても光栄です。メンバーはもちろん、出場するにあたり協力してくれたみんなに感謝したい」と謙遜しながらも、「一人ひとりの個性を活かし、チームで団結して挑んだ成果です」と誇らしげに語ってくれた。
 また、今大会に参加した感想を聞かれると、「どのチームのメンバーも、みんなが同じ数学力を持っているわけではありません。その中で、メンバーそれぞれのひらめきを大切にし、自分の思ったことを伝え合うことが、真の数学力の向上につながるのだと知りました」という大人顔負けのメッセージが飛び出し、会場を大いに沸かせた。
 チームを監督した伊藤直樹教諭によれば、「メンバー自らが決めた役割分担をもとに練習を重ねてきたこと。その上でお互いを信頼して取り組めたのが勝因では。正直、他校とそんなに差はなかったと思いますが、最後はそうしたチームワークが勝利に結びつきました。ぜひ来年も新しいメンバーで連覇を目指したい」と力強く語ってくれた。まさに数学力だけでなく、チームとしての総合的な資質を求める今大会の趣旨を体現するチームと呼べるだろう。
 一方、「マスライブ」に入賞した学校の中から、円かき大会で優勝した海星高等学校Bチームは、「数学というと固いイメージがありますが、正確できれいな円を描くという数学のちがった面で優勝できたのが良かった」。「優勝するぞ、と意気込んでいたのですが、本当に優勝できてうれしい」と、感激もひとしおの様子だった。

数学離れに一石
 現在、数検財団が実施する実用数学技能検定「数検」(文部科学省、47都道府県教育委員会後援)は、受検者が年間30万人を超える全国レベルの実力評価・絶対評価システムとして定着しており、国内のみならずインドネシア、フィリピン、韓国など国際的な広がりを見せている。
 しかし一方では、子どもたちの数学離れが深刻な教育問題となっているのも事実。その原因の一つが、学校で勉強する数学が公式を暗記してひたすら問題を解くことにとどまり、数学が本来持つ創造性の飛躍や純粋に問題を解く楽しさを体感させていないことが挙げられる。
 こうした中、本大会を通じて感じたことは、参加した生徒の誰もが《数学の楽しさ》を体感・共有していたということ。すなわち、この催しが今後の数学教育が目指す方向性に一石を投じる結果になったことを指している。
 なお、次回は2009年8月27日・28日の二日間で開催する予定。詳細は、数検財団ホームページ(www.suken.net/)で随時公表する。

★ 「マスバトル」決勝における創作問題の課題

問題 2つの円を「立体的に」組み合わせ、それを題材として以下の条件を満たす数学問題を作成しなさい。
 1 問題文中に少なくとも図を1つ添えること。
 2 高校までで学ぶ数学を用いて解答が可能であること。

“グローバルな視点を持つ、数学の楽しさを知ってもらいたい”
(財)日本数学検定協会理事長 高田 大進吉

日本数学検定協会理事長 高田 大進吉

▼ 大会を開催した経緯は
 「数検」の20周年記念として、何か高校の数学力を向上させるような事業をしたい。そこで思い立ったのが、個人の力に偏りがちな数学を団体で参加できるものにしたいという着想で、同じ思いを巡らせていた数学者の一松信・京大名誉教授のご協力をいただき、3年前から検討を重ねてきました。
 特に皆で楽しむにはどうすればいいか、どんな構成にしたら成り立つかなどに吟味が要りましたね。その結果、今大会は「問題を解く」という数学活動から「問題をつくる」という創造性を養うことに主眼を置きました。すなわち、問題を解く力、問題をつくる力、コンピュータでまとめる力、大勢の前で発表する力、あるいは質問に答えるディベート力などの多岐な要素を盛り込んだのです。

▼ 2競技に分けたのは
 こうした大会はいずれ数学が優秀な高校が上位を占めていく。すると、そうでない学校は参加しづらくなる恐れが出てきます。そう考えていた時、ある高校の先生から、生徒が数学に興味を持ってもらうためにぜひ参加させたいという話を聞き、ならば参加することに意義がある大会にしようと。そこで、数学力を競うマスバトルに対し、一つの学校が毎年参加して伝統をつくることを奨励するマスライブという競技も設けることにしました。

▼ 生徒が創作した良問を算額として神社に奉納するとか
 はい。お囃子で有名な葛西神社(葛飾区)に良問を奉納する予定です。算額とは江戸時代に神社や仏閣に奉納した数学の絵馬のことで、数学の問題が解けたことを神仏に感謝し、ますます勉学に励むことを祈念して奉納されたと言われています。今回の試みが算額という文化を復活させる一助になればと思っています。

▼ 今後に向けてメッセージを
 数学は、言語に勝るとも劣らない国際共通語としての力を持っています。ですから、本来は指導する側も教えられる側ももっとグローバルな視点がなくてはならないと考えます。そうした意味で今回の競技には英語問題やディベートを多く取り入れました。当協会ではこの機会を通じて、今後も一人でも多くの子どもたちに数学を学習する楽しさを発見してもらいたいと願っています。

「マスバトル」審査結果

優勝  愛知県立時習館高等学校 愛知県
準優勝 静岡県立富士高等学校 静岡県
敢闘賞 学校法人海陽学園海陽中等教育学校 愛知県
入賞  江戸川学園取手高等学校 茨城県
入賞  筑波大学附属駒場中学・高等学校B 東京都
入賞  早稲田高等学校 東京都

群馬県立高崎高等学校 群馬県
明照学園 樹徳中学・高等学校 群馬県
埼玉栄高等学校 埼玉県
埼玉平成中学・高等学校 埼玉県
千葉県立柏高等学校A 千葉県
千葉県立柏高等学校B 千葉県
麗澤高等学校 千葉県
大森学園高等学校 東京都
筑波大学附属駒場中学・高等学校A 東京都
立教池袋中学校・高等学校A 東京都
立教池袋中学校・高等学校B 東京都
麻布大学附属渕野辺高等学校 神奈川県
桐光学園中学校・高等学校 神奈川県
福井工業高等専門学校 福井県
海星高等学校 三重県
三重県立津高等学校 三重県
京都市立西京高等学校 京都府
近畿大学附属高等学校 大阪府

「マスライブ」入賞校

入賞・円かき大会優勝 海星高等学校B 三重県
入賞・円かき大会準優勝 近畿大学附属高等学校 大阪府
入賞 愛知県立時習館高等学校 愛知県
入賞 明照学園 樹徳中学・高等学校 群馬県
入賞 麻布大学附属渕野辺高等学校 神奈川県
入賞 福井工業高等専門学校 福井県
入賞 海星高等学校A 三重県


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