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海外の名門養成校・大学・施設に学ぶ  

2017年 4月 17日  <6面>

就学前教育の質向上を目指して
保育大手・ポピンズの海外研修

 外国の保育に学び、自園の教育や保育に生かしてもらおうという保育関係者向け研修が注目を集めている。大学などへの短期留学で保育者に求められる資質や力量を見極める目を養える。海外研修に参加するメリットを内田伸子・お茶の水女子大学名誉教授にきいた。

 「3月末に告示された次期幼稚園教育要領では、幼児期に育む力として、協働性や思考力の芽生えなど10の力が示されました。同時期に告示された改訂保育所保育指針においても、保育所保育は幼児教育の一翼を担うものとして確認されるなど、就学前教育・保育全体においてその質が一層問われる時代となっています」。
 こう話すのは子どもの言語発達を専門とし、長年保育研究に携わってきた内田伸子教授だ。教授は保育関係者が視野を広げるための海外研修を推奨している。保育士養成機関などへの短期留学や現地の幼稚園・保育園の視察研修・実習を通して「保育を相対的に見る目を養うことは、今後の日本の保育の充実に大きく貢献する」と指摘する。

英王室のナニー養成機関で研修
 では、どのような海外研修があるのだろうか。今年で創立30周年を迎えたナニー(ベビーシッター)事業・保育大手のポピンズ(東京)は1990年代から保育関係者向け海外研修を企画、イギリスとアメリカでの研修旅行を毎年開催している。当初は社内研修の一環だったが現在は門戸を広げ、保育関係者に広く学びの機会を提供している。
 毎年6月に研修を行うイギリスのノーランドカレッジは英王室のナニーを輩出する名門の乳幼児ケア専門職養成機関として知られる。現在、留学生は受け入れておらず、ここでの乳幼児教育を体験できるのは、20年以上の交流を持つ同社の研修のみ。参加者は2週間の幼児教育コースを受講できるという。今年は初の「親子で行く託児付プラン」も取り入れている。
 アメリカへの研修先は2カ所。ハーバード大研修では最新の脳科学の講義を受講し、大学内の保育施設やボストン近郊の乳幼児施設で実習する。教育学・心理学の研究で名高いカリフォルニア州、スタンフォード大研修では、講義に加えシリコンバレーの企業内保育施設を視察できる。理論から実践の現場、教育・保育施設を取り巻く社会環境まで丸ごと体験できるのが特徴だ。

子どもに考えさせる保育者の力量

 内田教授はスタンフォード大学で客員研究員の経験を持ち、同大附属レインボウ幼稚園やビングナーサリーで保育観察・調査を行ったことがある。ポピンズの海外研修ではこれらの幼稚園の視察もプログラムに含まれる。「ビングナーサリーでは自発性を大切にしつつ、援助者に徹する子ども中心の保育者の力量を知ることができるでしょう。
 子どもの活動の芽を見逃さず、寄り添う。つまずいたときには手を貸すが、答えは与えずに子ども自身に考えさせる言葉がけなど、非常に高いレベルのかかわりを見ることができます。この力は“活用力向上”を目指す学校教育に生かせる部分も多いはずです。
 一方、保育原理は日本と同じでも、文化的背景や子ども観の違いから保育実践の違いも見えてくるのが興味深い点です。海外に出ることで保育への相対的な視点を養うことができます」。

こども園経営のヒントに
 研修を企画する同社の幸田康子執行役員は、「認定こども園の開設に関心を持つ幼稚園経営者に研修への参加を勧めます。各国が乳幼児教育に国家レベルで力を入れている様子、また、その重要性を研究者やビジネス関係者が深く認識している実情にふれ、3歳未満児の保育に自信を深めていただきたい」とエールを送る。
 現在、各自治体では小1プロブレム解消のため就学前の子どもの発達について研修を行うところも多い。同社は30年にわたる保育事業の経験から、自治体向けの研修の企画・運営・実施も手掛けている。
 今後は英国・米国以外の国々の幼児教育機関への研修、アントレプレナーシップ教育に力を入れるフィンランドなどへの研修も企画していく予定だという。


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