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続・保護者に響く保育の金言  【第4回】

2018年 4月 23日  <6面>

乳幼児期の「早期教育」への警鐘
大豆生田 啓友 玉川大学教授

 幼児期に暗記学習や訓練をさせることは、子どもにとって大変な弊害です。(内田伸子「子育てに『もう遅い』はありません」<冨山房インターナショナル>64ページ)
 
 発達心理学者の内田伸子さんは、乳幼児期の早期教育に警鐘を鳴らしています。本書では、さまざまな視点から問題を指摘しています。
 今回取り上げた言葉は、暗記学習や訓練型の学習についてです。これに対して、三つの問題を指摘しています。
 第一は、子どもを指示待ちにさせるということです。ある実験の例を挙げ、幼児期に訓練を受けた子と受けない子を比べると、受けた子はその時には成績が上がるが、その後は受けなかった子と同じ成績になってしまうばかりでなく、思春期になると指示待ちになってしまう傾向があることを説明しています。
 第二は、子どもが勉強への興味を失うことです。幼児期にある方式で漢字の学習をした子が、小学校2年生の段階では国語の成績がむしろ低かったという追跡調査を挙げ、先取り学習は勉強への興味を失う可能性があると述べています。
 第三は、問題解決力が身に付かないことです。ある問いに対して、塾で教えられて覚えたことを手際よく答えた子と、自分なりの体験やイメージを結び付けながら試行錯誤して答えた子を比べると、前者は問題解決型の問題の成績が低かったという研究を紹介しています。
 これらの根拠とされている研究は少し古いものが多いのですが、研究者の間ではおおよそ共通理解が得られているものです。こうした見解は現在、アクティブ・ラーニングによる問題解決型の学びが重要と認識され、学校教育全体で進められている流れや、乳幼児期において目に見えにくい「非認知能力」を重視している流れとも合致します。
 さらに、内田さんは最近、話題になることが多い早期の英語教育に関しても「0歳児英語教育は知能を遅らせる」「ネイティブな英語環境より日本語の基礎固めが大切」などと述べています。そして、遊びの大切さを訴えているのです。
 ネット社会である現在、子育ての情報が氾濫しています。その中には「脳科学」というキーワードを入れ、早期からの能力開発の重要性を訴えるような内容がとても多くあります。親にとっては、自分次第でわが子の才能の芽が育てられるかどうかが変わると思うと、焦るのは当然です。
 しかし、多くの研究から言える乳幼児期に大切なことは、特別な訓練型の「早期教育」ではありません。私たち専門家は、それをしっかり保護者にお伝えしたいものです。


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