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認知科学のフロンティア AIに負けない「教育」

17面記事

書評

渡部 信一 著
知の在り方、教師の役割検討

 「人工知能」(AI)の報道が、増加している現今、学校では「教育」をどうすればよいのだろう。学校では何を教えるかだ。表面的な「学力」だけでなく、人間の「知」や「能力」のより深いところに着目する気運が高まってきている。“生きる力”“人間力”“社会人基礎力”“学士力”。これらを総称した「新しい能力」を身に付けるための教育を、どのように展開するか。著者(東北大学大学院教授・教育学)は「知」の在り方や「『学び』のメカニズム」を検討する。
 本書は5章構成。「シンクロする『教育現場』と『人工知能』開発」が第1章。「人工知能」になぜ着目するかが述べられる。続く第2章が「人工知能の『ディープラーニング』」である。「学習」はどのように生まれるかがテーマ。“汎用型の人工知能”の開発と、ディープラーニング。「教師あり学習」と「教師なし学習」。「学習者の主体的な学び」(子どもが主体的に学ぶ)を待つ教師の姿勢を、実現・確保できるかだ。
 「『教師あり学習』を支えるビッグデータ」(第3章)で、教師の役割が論じられる。そして第4章が「自律的に学習する最新の人工知能」。第5章が「人工知能に負けない『教育』」だ。教育学、ロボット工学、教育心理学研究者の鼎談が、教育の未来を論じる。
(1944円 大修館書店)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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