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震災から8年(6) マニュアルなき判断で命守る

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 本紙の最終面には10年以上続く連載欄がある。ページを開く手間が少ないため、よく読んでいただいているようだ。3月11日が近づく今、この欄で、東日本大震災に直面してきた地方自治体の教育行政トップから当時の様子や現状などについてお聞きすることが記者の大きな仕事となっている。
 今回の出張は初日に岩手・陸前高田市へ、2日目に宮城・気仙沼市へと出向いた。気仙沼市は津波の被害も大きかったが、規模の大きな火災も起こっている。
 訪ねた先の教育委員会事務局は3階建てのビルの2階にある。階段を上っていくと、柱には、「ここまで津波が到達した」との表示が。1階部分は天井近くまで水没したことになる。
 気仙沼市の教育長は当時、小学校の校長だった。マニュアルにはなかったが、校内にいた児童を体育館から校舎内に避難させた。校舎はまだ耐震化工事ができていなかった。難しい判断だったという。体育館に避難した人たちの中には、低体温症で亡くなった人がいた。ぎりぎりの判断で、命を守りきったという。

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