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次代を創る教師論

15面記事

書評

小池 俊夫・長野 雅弘 編著
教育の「不易」の神髄を講述

 「教育の不易と流行」という言葉がある。次代の教育においても、まず大切にすべきは、やはり「不易」であろう。本書は、教育の「不易」の神髄が書かれている良書である。しかも、教師という仕事の特性、問題点、教師を取り巻く環境等が忌憚なく講述され、その上で教師としてのやりがいや普遍的役割を考え、理解できる内容になっている。教師を目指す学生が本書に出合うことの意義は大きい。同時に、日々教育に奮闘努力している現職教員にとって、これまでの振り返りや今後の教育を自ら考えるための研修テキストとして、参考になる書である。
 本書は「プロローグ 教師をめざすということ」「エピローグ 人間教師になるということ」で挟んで、学習指導、いじめ・不登校、特別支援、保護者等との関わり、国や社会の動き等に関するテーマ別に、9章で構成されている。4人で執筆しているが、全章の講述が一貫しており、専門家として今現在活躍している勢いと説得力がある。哲学者、教育学者等の言葉が効果的に紹介され、講述中に取り上げた人物や図書は、同ページ下に解説していて分かりやすい。各章には教育関係者等からのさまざまなコメントが寄せられ、各章の最後には「さらに学びを深めるために」として、複数の参考図書が掲載されている。オープンエンドに学びが広がる書である。
(1944円 学文社)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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