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福井発 プロジェクト型学習 未来を創る子どもたち

16面記事

書評

秋田 喜代美・福井大学教育学部附属義務教育学校研究会 著
3年間通した探究の歩みは

 週2時間の総合的な学習の時間を中心に、学年全員が自分たちで設定した一つのテーマに後期課程(中学校課程)の3年間継続的に取り組んでいく、福井大学教育学部附属義務教育学校のプロジェクト型学習「学年プロジェクト」。本書はこのプロジェクト型学習の実践記録であり、子どもたちの学びや成長を読者と共有する内容となっている。
 実践事例として、平成27年度生の学年プロジェクト「テレビ」における、子どもたちの探究のストーリーを紹介。これに基づき、学習活動を通して培われる資質・能力とは何かを、子どもたちのインタビューや文章記録から分析している。探究を支えるために教師がどうカリキュラムの意図を共有し、関わっているかもまとめている。
 この取り組みを前期課程(小学校課程)1年生から開始し、9カ年のプロジェクト型学習のカリキュラムを構築する新教科開発研究の現状と展望も記述。教科におけるプロジェクト型学習の実践事例も述べている。
 現在、予測困難な未知の社会を協働して切り開いていくことができる資質・能力を培うことが、世界の教育の課題となっている。子どもたちが自律的な学び手として自己を確立し、学びの場である学校の文化、コミュニティーを創造し、継承していく、福井大学教育学部附属義務教育学校のプロジェクト型学習。これからの時代に求められる教育実践として、参考にしたい取り組みの一つだ。
(2268円 東洋館出版社)
(秀)

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