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教育と授業 宇佐美寛・野口芳宏往復討論

16面記事

書評

宇佐美 寛・野口 芳宏 著
長老二人が丁々発止のやりとり

 「教育と授業」と題して、国語教育(主として“読み・書き”の指導)を論じる二人の著者の往復討論(手紙)が本書。第1章と第2章を読んで、丁々発止の鋭い論述の応酬に引き込まれた。教育書や授業論は、こうでなければと読み進めた。この往復書簡は読み手の思考と探究を促し続ける。教職にある者にとり快著・名著を授かった思いだ。
 著者の宇佐美氏(Uと略称)は、教育学研究者の長老。野口氏(Nと略称)は、授業の名人。ともに、教育界では広く知られた人。往復書簡中心の本書は、8通の書簡で章を立てる。第1章が「前おきも必要である」(N)で、それを読んでの「語・文・状況」(U)が第2章。双方とも、自らの実践を用いて書き、自らの著作を引用して話を進めるから、読み進めやすい。これが、説得の力か。そして、相互に礼を尽くして書いているのはすがすがしい。これが“討論”と学んだ。
 「読めばいい? 書けばいい?」(N)の第3章を受けて「自己教育」(U)の第4章。第5章が、「私の学習者論、教材論」(N)で、第6章の「文章を読むという経験」(U)に続く。「補足的弁明と主張」(N)の第7章と、「<英語>・<発問>」(U)の第8章で書簡終了。続編がほしい思いだ。教職者の読書量の低下。困った事態なのだが…。
(2160円 さくら社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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