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新学習指導要領をひもとく

16面記事

書評

加藤 明 著
授業場面に則して狙い解説

 金貨が8枚。この中に少し軽い偽物が1枚混じる。てんびんばかりを使って、どう偽物を見つけ出すか。ただし、はかりの使用は2回だけ―。「未知の状況にも対応できるための思考力・判断力・表現力等の育成のための教材」として、問題が提示されている。
 本書は、2020(令和2)年度に全面実施する学習指導要領を解説したものだ。概説的な部分が第1章にあるが、一般的な解説書と異なるのは、学習指導要領が示す狙いを、第2章以下の「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「評価を生かした授業とは」で、教室での授業場面に則して解説している点だ。

 前出の金貨の問題だけでなく、
 ・体重100キロのゴリラが20%やせる薬を飲んで80キロになった、元に戻るには何%太る薬を飲めばいいか
 ・補助線を引いた台形を示し同じ面積の三角形はどれか、またその訳は
 ―などの設問によって、思考力を育て基礎・基本を確実にする「活用題」の必要性、考える力、粘り強く取り組む力の重要性などを提示する。
 これまで見えなかった教材や教科の世界を開きながら、開き方を身に付け、自分の可能性も開く力を目指すものが「『開く』授業」であり、その学習過程が「主体的・対話的で深い学び」という。評価を生かした授業づくりの視点も、授業の在り方を振り返る指標になる。
 各章に置かれる「ピンポイントレッスン」は実際的で、役に立つ。
(1980円 文溪堂)
(矢)

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