怒っている子どもはほんとうは悲しい 「感情リテラシー」をはぐくむ
12面記事
渡辺 弥生 著
言葉で表現する大切さ示唆
感情リテラシーは、自分や他者の感情を言葉で理解し、表現できるスキルで、「自分の気持ちを調節する」といった力も含む。それは、感情の安定をもたらすだけでなく、さまざまな問題を未然に防ぐ抑止力としても機能する。
「感情をうまく表現できない子どもは、困りごとを周囲に伝えることができず、いじめや暴力、不登校などのリスクが高まる可能性がある」との記述にうなずく教員は多いのではないか。評者も学校長時代に感じていたことだ。
本書では、心理学などの専門的な知見から、感情を耕すことの大切さ、感情リテラシーが社会や生活における危機にどう関連しているかなどを分かりやすく説明する。
現場で特に参考になるのは、感情リテラシーを育む指導に係る提言や示唆の部分だろう。例えば、国語教育でも、英語を習うときのように、感情を込め、声と表現をより意識した指導をしてはどうか、小学校低学年では「気分を言葉にする」練習、中高生では「入り交じった気持ちを感じたエピソードを語る」といった活動を入れてはどうか、といったことなどだ。また、感情を適切に表現できる感情語彙を獲得することの重要性も強調する。
知識や規律などだけでなく、「感情」やそれを理解、内省、表現できる「言葉」を豊かに育むことが教育においていかに大切か。ぜひ教室、学校での実践に生かしていただきたい。
(1078円 光文社(光文社新書))
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)
