どう変わる 高校学習指導要領【数学】
10面記事
統計や行列、全生徒の必修科目に
次期学習指導要領の改訂に向けた議論で、高校数学は大きな転換点を迎えている。
キーワードは「社会につながる数学」と「文理横断」だ。AIやデータサイエンスの普及を背景に、数学を一部の理系生徒だけのものではなく、全ての高校生に必要な基礎教養として位置付け直そうとしている。
目を引くのが科目構成の見直しだ。現行では「数学A」「数学B」「数学C」に分かれている選択科目を一つの新科目に統合する方向が示された。
現在は確率や統計、数列、行列といった重要な内容が複数科目に分散し、履修の仕方も複雑になっている。特に私大文系志望者などでは、大学入試で不要と判断した内容を学ばないまま卒業するケースも少なくない。中央教育審議会では、こうした状況を「高等教育や社会生活で必要となる数理的素養が十分身に付いていない」と問題視した。
新科目では「場合の数と確率」「統計的な推測」「行列」「数列」「幾何ベクトル」「複素数と複素数平面」の六つに整理。生徒が進路や興味に応じて必要な内容を選びやすくする狙いがある。
必履修科目の「数学Ⅰ」も変わる。新たに設けるのが「数学ガイダンス」と「社会を読み解く数学」だ。「数学ガイダンス」は、数学の全体像や、中学から高校への学びのつながり、数学が社会や職業でどう生かされているかを学ぶ導入的な内容となる。幅広い仕事と数学との関わりを示し、「なぜ数学を学ぶのか」を実感させる狙いがある。
「社会を読み解く数学」は、確率や統計、数列、数理モデルなどを通じ、データや社会現象を数学的に捉える力を育てる内容だ。これまで一部の選択者しか履修しなかった内容を、全ての高校生の基礎的素養として位置付ける。
科目構成の変更に伴い、履修モデルのイメージも示している。職業系専門学科などでは「数学Ⅰ」に加え、「場合の数と確率」や「統計的な推測」など、卒業後の生活や仕事に関わる内容を重視。文系進学者向けのコースでも確率、統計、行列、数列の4分野は履修することを想定した。理系進学者については、従来通り「数学Ⅲ」まで含めて学ぶ構成を維持する。
一方で、学習内容の精選も進める。具体例として「数学Ⅱ」の複素数と「数学C」の複素数平面を一体的に扱うことで、内容の重複を避けながら学ぶ。また、「数学C」で扱っている曲線の媒介変数表示は、活用場面となる「数学Ⅲ」で扱う方向を示した。

