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ひろがる鑑賞

18面記事

書評

三澤 一実 編 三澤 一実・米徳 信一・春原 史寛・鞍掛 純一・今井 陽子・足立 圭ほか 著
対話型で変わった学校の事例も

 鑑賞は楽しい。評者に専門的知識はないが、機会があれば各地の美術館や博物館で気ままに鑑賞してきた。本書を読んで、さまざまな鑑賞理論を味わうことができた。自分の新たな世界が広がったように思う。
 武蔵野美術大学通信教育課程に学ぶ学生の教科書として、また、美術の鑑賞活動に関心を持つ一般の方々に向けて編集。教育関係者はもちろんのこと、誰もが鑑賞の楽しさを味わえる書だ。
 第1章で、鑑賞の歴史と美術教育における意義、第2章で、「国立美術館の鑑賞指導者研修」「旅するムサビの対話鑑賞」や、「アメリア・アレナスと対話型鑑賞」等、鑑賞教育の実践30年について、編者が分かりやすく記す。
 第3章からは、「映像を読む」「絵画の鑑賞からポップカルチャーとしてのイラストの鑑賞へ」「彫刻を観る」「工芸の鑑賞」「鑑賞教育の『場』としての美術館」「美術館におけるファミリー・アートプログラム」。さまざまな鑑賞行為について各専門家が執筆。どれも興味深い。
 第9章は、障害のある人や赤ちゃんとの鑑賞。鑑賞を全ての人に開く可能性を示す。
 第10章は、週1回教室で生徒が10分間絵画等の美術を対話型で朝鑑賞する。これを10年間続けた中学校。変わったのは生徒と教師、そして互いに認め合い、主体性や協働性を育む学校そのもの。圧巻の実践記録だ。
(2750円 武蔵野美術大学出版局)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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