子どもに寄り添いたい教師へ
18面記事
谷尻 治・木村 哲郎 編著
言動の背景、理由を見つめて
「ちょっと待ってください! 今出て行ってどうするんですか! どうしたら上手く学年としてやっていけるかを話し合う場なのに、それではいけません!」
年間少なからぬ教育書に触れる機会があるが、こうした本音のぶつけ合いを著した実践に出くわす機会はあまりない。
三つの学級内での実践を収めた「子どもの声を聴く」(第1章)、学年集団の形成などを取り上げた二つの実践で構成する「育つ教師集団」(第2章)、各実践には「解説」が付され、第3章に論稿「子どもの発達と生活を保障する集団づくり」を置く。実践は、子どもたちの行動の背景、理由を見つめ、友人関係、学級づくりにつなげるものだ。子どもへの向き合い方と同様に、同僚教員の言動の背景、理由からも目を背けない。
編著者が全国生活指導研究協議会(全生研)の指導的立場にあると気付いたからか、実践の”におい”からか、定かではなくなったが、能重真作の『ブリキの勲章』や、かつての理論的支柱であった竹内常一を思い出した。とりわけ、夜な夜な近所にたむろする若者のバイク集団の輪に入り、話をしているんだよ、とうれしそうに話す竹内の関西なまりは懐かしい。その理論に毀誉褒貶はあるものの、人と関わることが好きだったのだと改めて思う。
本書の「寄り添いたい」という思いが、かつての指導者の命脈をつなぐ。
(2420円 高文研)
(吹)

