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クロスロード 交差する視点 「恵まれた世代」の不透明な未来

10面記事

高校

原田 曜平 芝浦工業大学教授

 日本最大の出生数を誇っていた「団塊世代」が後期高齢者になった。代わりに、日本最大の人口を誇るようになったのが、今の高校生・大学生の親である「団塊ジュニア世代」「ポスト団塊ジュニア世代」と呼ばれる40代~50代前半の中年世代である。
 長らく「少子高齢化」や「シルバーデモクラシー」と呼ばれた日本は現在、「多中年化」で「ミドルデモクラシー」の、いわば拙著の名前通り、「中年中心社会」だ。団塊ジュニア世代は人口の多さにより、受験・就職など全てのステージで激しい競争にさらされた上に、バブル崩壊により「就職氷河期世代」とも呼ばれた。
 そんな彼らの子ども世代が、今の高校生・大学生である「Z世代」である。彼らは親世代と真逆の緩い時代を生きており、少子化による未曽有の人手不足により、進学でも就職でも引く手あまた。親世代の給料は30年も上がっていないのに、Z世代の初任給は大幅に上がり、ブラック企業も大幅に減っている。
 親としては子どもに「自分たちと同じ目に遭わなくて良かった」「自分たちは苦労したので、うらやましい」と思う人もいるだろう。実際、受験も就職も、親世代ほどの切迫感は薄れている。が、単に「少子化」という自分の努力ではない、時代の因子によって恩恵を受ける子どもを盲目的に肯定し、うらやむことは正しいのか。私個人の答えは否である。なぜか。それは人生とは予測不能なものだからだ。
 例えば、今後、超人手不足により、さらに移民を受け入れざるを得なくなり競争が激しくなるかもしれないし、AIの進化で多くの仕事が消滅するかもしれない。
 日米のプロ野球で活躍したイチローさんは、高校球児に「今は上の世代がコンプライアンスにおびえ、君らに何も言えない。だから君らは僕ら以上に大変で、自分で考え、学ばなくてはいけない」と語っているそうだ。
 今は良い。でも、社会も働き方も急速に変わる中、未来は極めて不透明だ。そんな時代に、不安定な時代を生き抜いてきた氷河期世代の知見こそ、子どもたちに提供するべきなのではないか。
 さてあなたは、どう子どもと接するか。

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