教師のためのリフレクションと対話 「やってみての気づき」を授業検討会や校内研究に活かす
18面記事
渡辺 貴裕 著
物事の新たな見方をするには
『省察的実践とは何か』(ドナルド・A・ショーン著)。真に教師が学び合える校内研究の在り方を模索している時に手にし、評者にはその内容を理解し実践するに至らなかった一冊。
さて、本書は、授業検討会を含んだ校内研究・研修などの在り方を取り上げている。それらに共通するのは、実際に何かを行い、そこで起きたことから学びを引き出すこと、著者の言葉を借りれば“やってみての気づき”が鍵になることである。それを考える上で不可欠な「省察(リフレクション)」の概念について、ショーンとコルトハーヘンの二人の理論を分かりやすく第2章で解説している。「省察」とは、満たすべきものや目指すべきものを決めて、それがどれだけ達成できたかという視点で出来事を眺める見方とは異なり、その場の出来事を自分の感覚を働かせて経験することを土台にして、出来事に対する新たな見方、発見や気付きを導くもので、本書を貫く“やってみての気づき”の根底理念である。
3章以降、校内研究のあらゆる実際場面を再現し、臨場感あふれる構成と具体的な手法や留意点の提案に、納得感と実践意欲を駆り立てられる。また、「省察」の深め方として、他者との対話に加えて自己内対話として日誌を書くことの大切さを述べている。読後、本棚にあった冒頭の一冊を手にする自分がいた。
(2640円 日本標準)
(中川 修一・前東京都板橋区教育委員会教育長)

