愛着障害スペクトラム こどもの気持ち&支援スキル大全
18面記事
米澤 好史 著
感情育む修復プログラム示す
愛着とは「特定の人と情緒、感情、気持ちで結ばれるこころの絆」で、人はこれがあるから感情豊かに意欲的に生きられる。「愛着障害」は、何らかの事情でこの絆が十分に結ばれない状態のことで(したがって本来は「愛着形成不全」と呼ぶ方が正確)、不適切行動の背景にこれがある場合も多い。
本書は「愛着」の視点から新たな子ども理解の枠組みと支援の方法を具体的に提示する。
著者は愛着や愛着障害についての誤解、愛着障害と発達障害の混同などを憂慮している。愛着障害をスペクトラム(連続体)と捉えるなど、著者自身が「通説と異なる」と断っている点も含め、支援者、研究者としての経験に裏打ちされた説得力のある論だと感じた。
愛着障害は感情の問題なので、支援には感情の理解が不可欠だ。著者が提唱する「心理的な3つの特徴」「6つの特徴的な行動」や「愛着修復プログラム」は、現場での子ども理解や支援策の検討を助ける大きな力になり得る。
愛着障害では何より感情を育むことが必要で、「プログラム」ではまず子どもにとっての安全基地となる特定の「ひとり」と絆を結び、その中で愛情の受け止め方や感じ方を学んでいくといった支援スキルを示している。
「最も大切なのは、『愛着障害』という概念を一度捨てること」という言葉は、安易に「分かった気」になることへの警鐘だろう。
(1980円 講談社)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

