「公共」と○○教育 その実践の取り組みと課題
18面記事
高橋 勝也・竹達 健顕・塙 枝里子 監修
「人権」「消費者」…多彩に紹介
2022年度に高校の公民科必修科目として「公共」が導入されて以降、現場での試行錯誤を経て、授業スタイルは徐々に確立されつつある。しかし一方で、次から次へと多種多様な◯◯教育が登場し、学校現場では「◯◯教育」が氾濫状態に陥っているのも事実だ。限られた時間の中で教員がそれらのテーマを網羅し、自信を持って教壇に立つことは容易ではない。本書は、この課題に正面から応えるものであり、本書の目的は、主要な「◯◯教育」を整理し、実際の授業へどのように落とし込むべきかを示すことにある。
多岐にわたる「◯◯教育」のうち、本書では、生命倫理教育、人権教育、消費者教育、法教育、主権者教育、国際理解教育、キャリア教育、社会保障教育、財政教育、租税教育、金融経済教育について具体的な実践が紹介されている。執筆者らは主に20代・30代の若手教員であり、いずれも現場の熱気を帯びたチャレンジングな試みが並んでいる。各授業実践には、単元の学習指導計画や単元観だけでなく、授業を貫く「問い」、観点別評価規準、本時の展開などが示されており、明日の授業づくりに直結する手だてが満載である。加えて、一般受験指導を必要としない「公共」授業のあり方など、七つのコラムが掲載されており、どれも読み応えがある。本書は、新しい時代の公民教育を模索する読者に示唆を与えてくれる一冊である。
(1980円 清水書院)
(井藤 元・東京理科大学教授)

