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“仕組み”と“意識”でごみを減らす ごみの少なさ全国一 東京・八王子の実践

12面記事

企画特集

「浅川ガサガサ体験隊」が行われる浅川

身の周りの環境を好きになってもらうことが環境教育の第一歩

 最終処分場の残余年数への注目度が高まる中、学校現場においてもごみの減量、再利用、再生への理解と実践が進められている。今回の環境・エネルギー教育特集では、人口50万人以上の都市において市民一人一日当たりのごみの少なさ全国一位の八王子市を取材。環境教育実践の内容や、ごみの問題を環境教育として取り上げることの大切さなどについて聞いた。また、市内の小学校で取り組んでいるダンボールコンポストの実践と教育効果について、八王子市立弐分方小学校の事例を紹介する。

分別を当たり前のことにするために
八王子市環境部資源循環課長・小池育英氏
同環境学習推進課長・伊藤昭夫氏

インタビューに応じた小池育英氏(左)と伊藤昭夫氏

―八王子市は令和3年度から4年連続でごみの少なさ全国一位に。環境教育のモチベーションにもつながりそうですね。

 伊藤 某テレビ局が街頭で町についてインタビューをしたときに、「八王子はごみが少ないのが自慢。子どもの頃からごみについて習ってきて皆が意識しているから、分別も当たり前」というように答えていました。地道な活動が実を結んでいるのかなと、とてもうれしかったです。

 小池 当たり前になることが大事です。第一歩となったのは丁寧な説明でした。当市でごみの有料化、戸別収集の実施、資源物回収品目の拡大の3つを同時に進め始めたのは平成16年のこと。特に有料化はハードルが高かったのですが、最終処分場の延命化や八王子の豊かな環境を守るために循環型社会を目指したい。そのために必要なことだと、のべ1700回の住民説明会を開催しました。

―住民の理解を重視されたのですね。

 小池 例えば「生ごみの水切り」も、生ごみはごみの4割近くを占めるので、水切りでかさを減らせば可燃ごみを1割減らせる。焼却時のエネルギーや収集運搬時のCO2排出量の低減にもつながるという根拠まで伝えます。
 資源循環に一役買っているという実感を住民の方々に持ってもらうことも重要です。食品ロス削減のための施策の一つとして、「タベスケHachioji」というフードシェアリングサービスも行っています。市内のお店が消費期限間近の食品をウェブサイト上で割引価格で出品し、消費者は安く購入できるというものですが、お店は廃棄ロスや処理費用を減らせるし、消費者は割引価格で購入できて、買い物を通じてごみ減量に貢献できるということでとても好評です。

―教育による素地づくりはどのようにされていますか?

 伊藤 身の周りの自然を体感することで、自分が暮らす町の環境を守りたいという気持ちを育てています。市内の小学校では以前から授業で、学校近くの裏山や大きな公園、川で、フィールドワークを伴う「緑の学習」「川の学習」を行い、身近な自然の魅力を学んできました。また、八王子を代表する川である浅川では、実際に網を持って川に入って生物を採集したり、川での安全対策などを学んだりする「浅川ガサガサ体験隊」を実施。俳優の中本賢さん(八王子市教育委員会付環境教育アドバイザー)を探検隊長に、小学4年生以上とその保護者を対象に行っています。
 川遊びの経験がない保護者も夢中になり、家族で楽しく学んでいただいています。八王子には一級河川が多く、川が近くにある学校も多いのですが、川は危ないところという認識があり川遊びの機会は減っているのが現状。川を正しく知ることが、将来環境保全に関わる大人を育てることにつながると信じて取り組んでいます。
 4年生は社会科で地域学習を行いますが、「ごみ」をテーマにする学校が多く、清掃工場見学の受け入れもしています。見学後は「充電池は不燃物とは別に分別するんだよ」など、家族との会話も広がるようです。
 臭いが少なく、初心者でも気軽に堆肥作りができる「ダンボールコンポスト」にも取り組んでいます。平成24年から補助金の対象とし、その翌年から作り方講習会を市民向けに開催。小学校でも体験型授業を実施しており、毎年4、5校が参加しています。

環境教育の継承を目指す

―体験以外にはどのような環境学習をしているのでしょう?

 伊藤 環境全般を学ぶ「はちおうじこども環境白書」、資源循環についての社会科テキスト「きれいなまち八王子」、川の学習のためのテキスト「八王子の川と友だちになるノート」といった環境教育用教材を作成し、学習指導要領に沿う形で「総合的な学習の時間」などで活用してもらっています。

―教材で基本を学び、体験型の学習で学びを深めているのですね。

 伊藤 環境学習というと「課題の発見」から入ることが多く義務感が生じがちですが、もっとシンプルに、「自分の周りの環境が好き」とか、「埋め立てごみがゼロってすごい」と感じてもらうのが環境教育の第一歩だと思っています。環境保全をポジティブにとらえられれば、川にごみを捨てるような大人にはならないと思うのです。
 我々の環境学習推進課は、それまで別々の課が取り上げ、それぞれ独自に環境教育を行っていたごみ、水、その他のテーマに関する環境関連各課の教育部門を統合し、昨年8月に組織化された部署です。課員それぞれの知恵と経験を結集し、学校側が希望するテーマに応じて学習内容を提案したり、学習ツールの紹介をしていきたいです。たとえば「ごみ問題啓発ポスター」も、今年はごみだけではなく環境全体のポスターを作ってもらうように投げかけました。広い視野で環境学習に取り組めるよう、さらにステージを上げていきたいです。
 今年度は念願だったインタープリター(自然解説員)制度の立ち上げも実施します。対象は小学5年生から高校3年生で、年12回以上開催し、講座やフィールドワークを行います。情報発信力のあるインタープリターを育て、環境教育を継承していくことも今後の命題です。

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