高等学校 探究的な学び実践事例集 次の一手への道しるべ
20面記事
松下 佳代・石井 英真・奥村 好美・石田 智敬 編著
社会参画、生き方などに類型化
現代において、高校における探究は百花繚乱の様相を呈しているが、本書はその多様な姿を、23の具体的な実践を通じて可視化した貴重な事例集である。伝統ある京都大学教育方法学研究室の研究者たちによって編まれたものであり、執筆者は総勢24人に及ぶ。北海道から九州まで七つの地方を網羅し、公立校を中心とした先進事例を1校当たり8ページで手際よく紹介している。
第1部では、「学問(専門研究志向)」「社会(社会参画志向)」「自己(生き方探究志向)」のどれに相対的な重点があるかによって、探究のカリキュラムが類型化されており、読者が自校の立ち位置を把握するのに役立つ。第2部で紹介される各事例には「地域課題解決型」「生き方探究型」「企業連携型」など探究の特色が示されており、一口に「探究」と言ってもその内実が多様であることが理解できる。「イノベーション探究」「夢探究」「クリティカルシンキング」など、探究の時間の名称もさまざまで、そのネーミングからも各校の探究観を読み取ることができて興味深い。
なお、本書は、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の一環として行われた調査の成果をまとめたものである。探究的な学びの現在地を冷静に見つめ、自校における「次の一手」を構想する上で今読むべき一冊といえる。
(2640円 学事出版)
(井藤 元・東京理科大学教授)

