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防災地元学 地誌で読み解く災害の記憶と知恵

20面記事

書評

小田 隆史 編著
各地の伝承生かした実践紹介

 本書のタイトル「防災地元学」は聞き慣れない言葉である。地域の自然・文化・歴史に根差した知の蓄積を掘り起こし、現代の防災教育や町づくりに生かす新しい試みだという。災害が多発する日本。過去の教訓をどう次世代に伝え、地域に住む人々の命と暮らしを守る力に変えていけばよいのか。今後の防災活動や防災教育の在り方を含め、本書はその疑問に対する答えを見いだす一助になりそうだ。
 前半は「防災地元学」の背景にある「地誌」「地域知」「地元学」の基本を扱っている。例えば、災害伝承・地形・景観など多様な地域資源を読み解く方法、民話や伝説を含む全国各地に残る災害の言い伝えや物語を災害の視点で再考すること、神社仏閣や地名に刻まれた災害痕跡の分析を通して災害伝承の多様性と継承の重要性などだ。こうした内容や視点を踏まえ、後半は学校教育と地域社会の実践例を紹介している。学校教育の実践では、社会科教育や高校「地理総合」に着目し、学習指導要領における防災やGIS(地理情報システム)の位置付けを確認。本書が提起する「防災地元学」の観点を取り入れた授業が、「地理総合」や他教科でどう展開できるかを検討している。
 東日本大震災から15年。全国各地の事例や多様なフィールドワークに基づき、地域社会に根差した防災の在り方を深く多角的に検討することができる。防災に興味・関心を持つ全ての人たちにとって参考になる一冊だ。
(3080円 大修館書店)
(斉)

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