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場としての図書館 求められる機能と役割

16面記事

書評

河本 毬馨 著
概念モデルが示す可能性

 コンピュータ化の進展によって、図書館業務だけでなく、図書資料の電子化なども進行している現状に「物理的な公共図書館」は必要なくなるのだろうか。こんな問いに、著者は英語で記述された多数の関連文献を基に、「場としての図書館」の概念モデルを構築、提示して答えようとしている。
 概念モデルは「英知」「遺産」「コミュニティ」の三つの象徴、それぞれの象徴を計11の概念が支え、11概念の下には30のサブ概念を置く形で描き出した。例えば「英知」であれば「知性」「創造性」「新奇性」という概念が支え、さらに例えば概念「創造性」の下には「作業環境」「創造的活動」「創造性の向上」といったサブ概念を置く。
 概念モデルへの理解はノルウェーのオスロ市公共図書館の理念と活動の事例(第3章)を読むことで、深まる。ボランティアが配置され「子どもたちのための宿題支援」などに取り組む分館がある。小規模な分館では3Dプリンターや工具、ミシンなどを貸し出し、ものづくりを支える。毎年、一人の作家に未発表作品を寄贈してもらい2114年に本として刊行するプロジェクトなどを紹介しつつ、概念モデルと対照させている。
 「公共図書館が伝統的に担ってきた資料保存やサービス提供の役割」にとどまらない活動の広がりに驚かされると同時に、著者による概念モデルは、今後の公共図書館の在り方、可能性を示してくれる。
(5500円 ミネルヴァ書房)
(矢)

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