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自立をめぐる困難と希望 若者たちの生の軌跡から

12面記事

書評

木戸口 正宏 著
長期インタビュー基に実像描く

 新自由主義が跋扈する現代社会。社会保障が切り下げられ、他者とのつながりを断ち切られた中で、若者たちは自分一人の力で生きていく「自立」を余儀なくさせられる。学校から社会に出て行く過程で、若者たちは数多くの困難に立ち向かわなければならない。本書は、多数の若者を対象とした長期にわたるインタビュー調査を基軸として、若者たちにとっての生きる希望の道筋を教育学の理論的考察に基づいて描き出したものである。
 若者たちが出合う典型的な職場は、非正規雇用の不安定で、経済的にも厳しいものである。そうした生活の中で、若者たちは、趣味を同じくする友人や、家庭を一緒に築き上げていくパートナーとの出会いなどを「導きの糸」として手繰り寄せ、しんどさの中でも見通しを持って生きていく。さらには、同じような境遇にある若者同士が集い、「居場所」や「まちづくり」という協働を生み出していく。
 本書では、北海道におけるコロナ禍での保護者の悩みや葛藤、特別支援学校における不登校の現状と課題についても、綿密なインタビュー調査を通じて明らかにしている。地域や社会の教育力が削ぎ落とされている現代社会において、若者たちが社会的自立の道を一歩ずつ確実に進んで行く様子を彼らの言葉を通じて本書は明らかにしている。若者に寄り添いたいと願う大人たちに一読を強く勧めたい。
(2750円 高文研)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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