不登校をどう理解し、どう支えるか 教育社会学と教育・臨床心理学からのアプローチ
12面記事
酒井 朗・保坂 亨 編著
出欠席の二分法から脱却促す
2024年度の不登校数は35万人とされ、長期欠席者は50万人を上回るとされる。近年では小学生の不登校が増加している。だが数ばかりが強調され、矢継ぎ早に対策が打ち出され、現場は対応に追われている。一方で教員をはじめ関係者の不登校への現状分析や理解は十分とはいえない。本書はこのような問題意識から教育社会学、教育心理学、臨床心理学の専門家が協働して、不登校の理解や支援に多様な視点や知見を提示する学際的研究である。
内容は第Ⅰ部の不登校に対する認識の変化に始まり、不登校データの再検討や発達心理学の視点から見た子どもの不登校と続く。特に発達加速化現象による前思春期の喪失、「勤勉性の獲得」の再考は興味深い。第Ⅱ部では、A自治体での不登校生徒追跡調査の分析やインタビューを掲載している。第Ⅲ部は、さまざまな不登校支援の取り組みを取り上げる。特に校内教育支援センターや通信制高校、コラムでフリースクール、学びの多様化学校を掲載している。また執筆者の座談会もあり、それぞれの研究分野から多様な知見に触れられる。
本書の中で、多様な選択肢の提供は排除を生み出す危険性や出席/欠席の二分法からの脱却など、一考に値する問題定義がされている。考えさせられる内容が豊富で、不登校に関わる全ての人に読んでほしい一冊だ。
(3850円 勁草書房)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会特別参与)

