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探究する社会科 長岡文雄と子どもたちの「考えあう授業」に学ぶ

12面記事

書評

長瀬 拓也 著
「共通の問題つくる」実践紹介

 戦後の社会科教育に大きな影響を与えた実践家・長岡文雄。奈良女子大学文学部附属小学校教諭として戦後のカリキュラム作成に関わり、「奈良プラン」の作成と実践に取り組んだ長岡の足跡は、今なお色あせない。本書は、社会科教育を専門とし、学級経営や生徒指導に関する著書も多い同志社小学校教諭の長瀬拓也氏による、長岡研究の三作目(完結編)である。本書で取り上げられるのは長岡文雄の名著『考えあう授業』だ。長岡によれば、教室は共同追究の場であり、それぞれが相手のことを思いやる「考えあう場」である。彼は「共通の問題をつくる」ことを重んじたが、その内容は「斉一で平板なもの」ではなく「個性的思考のからまりをもつ複雑なもの」であった。
 本書の白眉は、その生きた授業の姿を鮮やかによみがえらせる丁寧な分析にある。長岡の「考えあう授業」の実践の生きた姿を捉えるべく、「近鉄地下乗り入れ工事」「日本の農業の動き」の二つの実践が丁寧に紹介され、授業記録を読み解く中で、長岡の卓越した教材観や、子どもの思考を深く揺さぶる発問の工夫が浮き彫りにされる。
 著者が述べている通り、「教室で学ぶ意味をあらためて問う」上で長岡実践から学ぶべきことは多く、教科の中での探究的な学びの在り方を描き出すための一つの明確なビジョンを与えてくれる。過去の実践知を現代に開き、これからの授業づくりに向けて示唆を与えてくれる一冊である。
(2860円 黎明書房)
(井藤 元・東京理科大学教授)

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