子どもが共に育つ 個に応じた教育の考え方と進め方 オランダに学ぶ個別化・個性化教育の課題と展望
18面記事
奥村 好美 著
オルタナティブの実践、日本に示唆
令和8年8月末に中央教育審議会教育課程企画特別部会から審議まとめ(素案)が示され、次期学習指導要領に向けた議論が加速している。基本的な考え方として個別最適な学びと協働的な学びの一体化のさらなる充実が掲げられ、個に応じた教育を目指す方向性から見ても本書は注目すべき内容だ。
「個別最適な学び」「個に応じた指導」をどのように充実すれば深い学びにつながるのか、成果を得られている一方で、その具体性に悩む現状も見える。本書は、オランダのイエナプラン教育とダルトンプラン教育を取り上げ、その教育背景や実践を紹介し、まさに改革が進められている日本の個別化・個性化教育の実現を目指す方途を探っていく意欲的な書。
オランダでは100年の学校闘争を経て1917年に獲得された「教育の自由」が背景にあり、オルタナティブ教育が実現しやすい環境があったという。イエナプラン教育の八つに整理された根本原理は必見。例えば「学校は子どもに自治を取り入れた民主的な市民として生きるうえで重要なことを学べる場」という考え方や、「書物だけで子どもが分かった気にならないように。本物と出合い、手を使って思考する」など。広い意味で自由進度学習を実践するダルトンプランもしかり。「自分で予定を立てるがすべてを子どもに委ねるのは放任。少しずつ自由度を上げる」などの考え方は日本の目指す教育に示唆を与えてくれるはず。
(2420円 日本標準)
(藤本鈴香・大谷大学教職アドバイザー)
