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2026年度版卒業記念品特集 卒業の思い出を未来につなぐ

14面記事

企画特集

名入れのモバイルバッテリーが人気

 秋の訪れとともに、学校現場では卒業記念品の選定時期を迎える。学校や保護者の思いが込められた記念品は、卒業生の門出を祝福する贈り物になるとともに、仲間と過ごした時間を形に残し、母校への愛着を育む大切なアイテムになる。ここでは、卒業記念品の最新トレンドを、小・中・高校別に整理して紹介する。

「記念」から「実用」へ変わる卒業記念品

 現在、卒業記念品のトレンドは、「記念として保存するもの」から「卒業後も使えるもの」へと変化している。背景には、保護者や児童生徒の価値観の変化がある。限られた予算の中で、「実際に役立つものを贈りたい」「卒業後の進学先や社会生活でも使えるものが欲しい」というニーズが高まっているからだ。
 また、学校の統廃合や校舎建て替え、制服変更などを背景に、「今しか残せない学校風景」を記録として残したいという意識も強まっている。そのため、学校写真や校章、校歌などをデザインに取り入れたオリジナル記念品も人気を集めている。
 加えて、SDGs教育の浸透に伴い、環境配慮型商品を採用する学校も増加している。再生素材を用いたボールペンや木製記念品、エコバッグなど、“環境教育との接続”を意識した商品選定も広がりつつある。

時代の変化とともに卒業記念品のニーズも変わる

小・中・高校の人気アイテム

小学校の記念品:小学校の卒業記念品では、「中学校で役立つもの」が定番となっている。特に人気なのが、図書カードNEXT(プリペイド式の読書専用ギフトカード)や名入れシャープペン、パスケース、水筒、タンブラーなどである。近年はICT端末活用を背景に、タッチペンやPCケース、イヤホンなども選ばれるようになった。学校によっては、携帯ボトルや携帯ライトなど、防災意識を高めるアイテムを採用する例もある。

中学校の記念品:中学校では、高校進学後を見据えた実用品が中心となる。多機能ペンやUSBメモリ、モバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホン、定期入れなどが定番である。特に近年は、「通学」と「ICT」を意識した商品が増加。高校になるとノートPCを持参するケースも多いため、周辺機器への需要が高まっている。

高校の記念品:高校では、大学生活や社会人生活を意識した商品選定が特徴だ。人気商品は、高級ボールペンや名刺入れ、革製パスケース、モバイルアクセサリー、ワイヤレス充電器など「長く使える品質」を重視する傾向が強い。また、私立高校の中には単価がやや高めの商品を採用するケースも多い。

「学校らしさ」を残すオリジナル記念品

 近年の卒業記念品で特徴的なのが、「学校の独自性」を重視していることだ。例えば、校舎写真入りタンブラーや制服デザイン入りグッズ、校歌を刻印した記念品、ドローン空撮による校舎写真など、「その学校ならでは」のデザインを盛り込む事例が増えている。
 現在、学校施設は統廃合や老朽化改修が増加しており、「この校舎で過ごした記憶」を残したいというニーズが強まっていることがある。また、学校ブランディングの一環として、卒業記念品を「学校文化を継承するツール」と位置付ける考え方も広がりつつある。
 今後の卒業記念品選びでは、学校DXや探究学習が進展する中で、「デジタルを活用した思い出共有」はさらに広がる可能性が高い。卒業記念品は単なる“モノ”ではない。児童生徒が学校生活を振り返り、次のステージへ進むための“記憶の媒体”である。時代の変化に合わせながらも、「学校で過ごした時間の価値」をどう残していくかが、今後ますます重要になっている。

PTA寄贈は「学校づくり」を支える時代へ
学校魅力化に関わる寄贈が増加

 一方、PTAによる卒業記念寄贈は、かつては校章額や記念樹、置時計など“記念性”を重視したものが中心であった。しかし近年は、学校現場が抱える課題解決や教育環境向上に直結する設備・備品へと大きく変化している。
 学校施設の老朽化、猛暑対策、学校DX推進、防災機能強化など、教育現場を取り巻く環境変化を要因に、限られた学校予算だけでは対応が難しい設備整備を、PTA寄贈が補完するケースも増えている。また、「卒業生の保護者として学校に何を残すか」という視点も、“記念”から“学校全体への貢献”へとシフトしている。
 例えば小学校では、全校児童が日常的に利用できる設備への寄贈が主流となっている。代表例としては、長尺プリンター、カラーコピー機、タブレット充電庫、学習家具、ベンチ、校庭テント、デジタルサイネージなどが挙げられる。
 特にGIGAスクール構想以降は、ICT環境を補完する設備需要が高まっている。タブレット端末そのものは公費整備が進んだ一方、充電保管庫や大型提示装置、校内掲示設備などの周辺環境整備には学校差もあり、PTA寄贈によって補完する動きが広がっている。
 また、図書室のリニューアルに合わせて木製書架や閲覧用ソファを寄贈する例もあり、「子どもが居たくなる空間づくり」を意識する学校が増えている。

熱中症・防災対策への関心が急拡大

 近年、猛暑の長期化や自然災害の激甚化に伴い、防災・安全対策関連の寄贈が増加している。学校は教育施設であると同時に地域の避難所機能も担うため、安全性向上への社会的要請が強まっている。
 小学校では、大型送風機やスポットクーラー、冷水機、ミスト設備、日除けテント、AED収納設備、防災倉庫備品など。特に体育館や校庭で活用する大型送風機などの空調機は、運動会や体育授業だけでなく、災害時の避難所環境改善にもつながるため、整備ニーズが高い。また、防災備蓄品や簡易トイレ、蓄電池などを寄贈対象とする学校もみられる。学校安全計画や地域防災計画と連動しながら、「学校の防災拠点化」を意識した寄贈へと広がりつつある。
 中学校では、PTA寄贈が学校DX推進を支える役割を担い始めている。代表的な寄贈例は、プロジェクターや電子黒板、校内Wi―Fi関連設備、配信用機材、体育館空調関連備品などである。また、中学校は教科担任制で複数教室を移動するため、ICT機器の利便性向上が授業改善に直結しやすい。オンライン配信や動画活用授業、協働学習など、新しい学びへの対応を目的とした設備需要が高まっている。

部活動支援設備へのニーズも高い

 中学校では、部活動支援設備への寄贈も依然として多い。代表例は、部活動用テントやグラウンドベンチ、大型タイマー、熱中症指数計、移動式送風機などである。特に近年は、部活動中の熱中症事故防止への意識が高まっており、WBGT測定器や冷却設備など、安全管理に関わる備品整備が進んでいる。また、地域移行や合同部活動が進む中で、「学校外でも使える汎用性」を意識した設備選定を行うケースもみられる。
 高校では、PTA寄贈が学校ブランディングや魅力向上と結び付くケースが増えている。代表例は、カフェテリア家具や学習スペース家具、STEAM教育設備、ICTラボ設備、デジタル掲示板などである。
 中でも私立高校では、生徒募集広報や学校見学会を意識し、「学校の特色づくり」に直結する空間整備として寄贈を行う例が増えている。例えば、カフェ型学習スペースや探究学習用可動家具を整備し、「主体的に学べる学校」を演出するケースもある。また、3Dプリンターや動画配信機材、デジタル工作機器など、STEAM教育を象徴する設備への寄贈も増加している。公立高校でも、探究学習やキャリア教育の充実を背景に、多目的学習空間やプレゼンテーション設備を整備する動きが広がっている。
 近年のPTA寄贈に共通するのは、「卒業記念」という枠を超え、学校課題解決や教育環境改善を支える性格が強まっている点だ。そのため、現在のPTA寄贈では、「記念として残るか」だけではなく、教育効果があるか、継続活用できるか、全校で共有できるか、安全性向上につながるか、学校の特色化に寄与するかといった視点が重視されている。

部活動の思い出を共有する

 少子化に伴い、部活動の思い出づくりに記念品を用意する学校も増えている。以前は、記念タオルや集合写真、寄せ書き色紙などが定番であったが、現在は「活動の記録を残す」「仲間との思い出を共有する」ことを重視した記念品が主流になりつつある。
 スマートフォンや動画編集アプリの普及により、日常的に動画を撮影・共有する文化が定着。写真だけではなく、“映像として活動を残す”ことへのニーズが急速に高まっている。また、部活動は学校生活の中でも特に人間関係や達成感が濃密に形成される場であり、「仲間との時間を形として残したい」という思いが強いこともある。
 小学校では、スポーツ部や合唱クラブなどを中心に、写真入りマグカップやメッセージカード集など比較的手軽で親しみやすい卒業記念品が人気である。高価な記念品よりも、「みんなで同じものを持つ楽しさ」や「家庭でも使いやすいこと」が重視される傾向がある。
 中学校では、部活動単位での卒業記念品が最も活発に行われている。従来から人気のある、記念Tシャツやスポーツタオル、サイン入り色紙などに加え、近年急増しているのが、卒業ムービーやフォトパネル、動画入りUSBメモリ、活動記録スライドショーなど、“映像を残す”タイプの記念品だ。
 また、部活動への帰属意識を象徴するアイテムも人気が高い。ユニフォームキーホルダーや部旗ミニレプリカ、背番号入りグッズ、チームロゴ入り記念品などである。オリジナルデザイン制作サービスが普及したことで、小ロットでも比較的安価に制作できるようになり、学校ごとの特色を反映したオリジナル記念品づくりが広がっている。
 高校の部活動では、“最後の集大成”として記録性を重視する傾向が特に強い。ドローン撮影や高画質動画編集など、映像制作そのものが高度化。試合映像だけでなく、日常練習や更衣室風景、引退セレモニーなどを含め、“高校生活そのもの”を記録するケースも増えている。また、ユニフォーム額装やアクリルスタンドなど、「飾って残せる」記念品も人気だ。

「モノ」から「共有体験」へ変わる卒業記念品

 このように、近年の部活動記念品に共通するのは、「所有するモノ」から、「思い出を共有する体験」へと価値が変化している点である。そのため、現在の卒業記念品では、記録性や共有性、オリジナル性、デジタル活用が重要なキーワードとなっている。

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