バウンダリー境界線の支援メソッド 社会的養育・発達障害支援で大切にしあえる関係づくり
14面記事
山崎 康一郎 著
自他を区別する働きと実践紹介
本書が焦点を当てる「バウンダリー(境界線)」とは、「自己と他者を分離し、まとまりのある自己の感覚を与える縁のようなもの」である。自分と他人を隔て、私というまとまりをつくってくれる膜や壁、ドアのようなイメージの境界だ。著者によれば、虐待、いじめなどの被害体験があったり、発達障害への適切な関わりが得られなかったりすると、バウンダリーが守られず、人間関係に多くの困難を抱えてしまうことがあるのだという。
バウンダリーには「わける」「守る」「決める」という三つの主要な働きがある。空間、時間、物、身体、こころを「わける」ことで自他を区別し、ルールやマナーによって管理・統制ではなく自他の境界を「守る」。そして、自分で選択して責任を担う範囲を「決める」役割を果たす。この境界の大きさや硬さは、相手との関係性によってその都度変化する。
本書の大きな魅力は、対人関係に困難を抱える子どもや中軽度の知的障害者を主な対象とした、具体的な実践プログラムが豊富なイラストと共に紹介されている点だ。これらは入所施設で生活を支援する職員が実施したプログラムを基に構築されており、さまざまな生活、教育、就労の場での実施が想定されている。互いのバウンダリーを尊重した人間関係を築くアプローチとして、多くの支援者や教育関係者に手に取ってほしい一冊だ。
(2860円 かもがわ出版)
(井藤 元・東京理科大学教授)
