歴史総合 <私たち>の物語をつくる 今こことその先
14面記事
向 正樹 責任編集 高大連携歴史教育研究会 編
新科目への期待と課題
令和4年度から高校での新必履修科目となった「歴史総合」。本書は高校・大学の教員らが組織する高大連携歴史教育研究会が令和4・5年に企画、開催した大会、パネル報告などの成果を基に、「『今ここ』において、歴史総合の近現代史をどう私たちのものにできるか」「『その先』、つまり次の時代の歴史教育への展望」「歴史で高校・大学・地域をつなぐ方法」のそれぞれを問う視点に対応して、3部で構成し、全10章を収めた。
書名にある「私たち」は、新必履修科目の三つの大項目に付される「私たち」。各論者が「私たち」とは何者かにこだわる視点は授業者に参考になるのではないか。その時代時代を生きた「私たち」、教室には外国にルーツのある生徒も含め多様な「私たち」がいる。論考の一つには「教育現場の工夫次第では、歴史の中に生きる『私』が多様な『私たち』に所属していることを自覚させ、その中から一つあるいは複数の帰属先を意識的に選択し、意思決定を行う能力を育成できる」という実践者からの指摘がある。
「深い学び」実現のための授業時間不足や入試の在り方といった課題にも触れつつ、新科目を通してシティズンシップ教育につながることへの期待、ジェンダー視点を取り入れた授業の必要性やそのための問いの立て方、歴史を“自分ごと”にするための実践例、社会の中の歴史学習コンテンツの裏側など、それぞれの立場での新歴史教育への提案に触れることができる。
(3850円 ミネルヴァ書房)
(矢)
