とっておきの絵本 絵本作家に魅せられて
12面記事
高木 すえ子 著
80人の人物像と作品の魅力は
本書は、46年間にわたり書店の児童書担当者として歩み、現在は絵本案内人として活動する著者が、心に残る「とっておきの絵本」をつづった一冊である。
全ページカラーの本書には、80人以上の絵本作家が登場し、『週刊京都民報』に連載された100回分のコラムがまとめられている。見開きごとに作家一人が取り上げられ、その人物像と共に作品の魅力が丁寧に紹介されている。「林明子―子どもの目線で見る」など、各作家に添えられたキャッチコピーからも、著者の深い敬意と愛情が伝わってくる。パラパラとめくるだけでも個性豊かな世界が次々に立ち上がり、一口に絵本と言ってもこれほど表現の幅が多様なのかと驚かされる。
著者は「子どもが手にする本は、表紙が大事です」と語る。物語への興味を引き出す、ふさわしい美観を備えていることが重要だというのだ。その言葉を体現するように、本書自体の装丁も実に凝っている。さまざまな絵本の表紙がモザイク状に並んでおり、それが半透明のカバーで覆われている。普段絵本から遠ざかっている大人であっても、ページをめくれば幼少期に夢中になった記憶が鮮やかによみがえるだろう。作家の名前は忘れていても、見覚え/聞き覚えのある絵本がきっと見つかるはずだ。誰もが絵本の奥深い魅力に出合い直すことができる、珠玉のガイドブックといえる。
(2420円 リーブル)
(井藤 元・東京理科大学教授)
