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保育の場を主体として共に生きる 子どもの「心の動き」を綴ったエピソードから見えてくること

12面記事

書評

鯨岡 峻 著
年齢別の幼児教育 分析と考察

 教育現場のさまざまな問題点は改めて言うまでもないが、「現行の学校教育はこのままでよいとは到底思われません」「これまで絶対少数派を自任してきた私にとって、この『異議申し立て』は、私の最後のメッセージとするにふさわしいと考え」「82歳を過ぎて人生の終末を迎えつつある私から」「子どもの主体としての心を育てること」の重要性を訴えたい、として刊行された一書である。
 副題に「子どもの『心の動き』を綴ったエピソードから見えてくること」という添え書きがある。幼児教育現場の実践者の具体的なエピソードは、0歳から5歳までの37編にわたって紹介され、全てが読み応えのある体験論文である。年齢別に著者の分析と考察とが「見えてくること」としてまとめられており、これまた貴重な示唆、提言、問題提起である。
 本書は、大きくは「序章」「理論編」「エピソード記述編」「『エピソード記述編』と『理論編』との繋がり」の4パートから成る。約260ページ中の64%が「エピソード記述編」に充てられている。筆者がいかに保育現場の事実、実践に注目し、その現実からの考察を重視、熟慮に努められたかに思いを致したい。
 「子どもを主体として受け止めるとはどういうことか、子どもの心を育てるとはどういうことか」を常に念頭に置いて読むべき一書だ。
(2640円 北大路書房)
(野口 芳宏・植草学園大学名誉教授)

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