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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第51回】

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ドイツと日本

 「蓄えがありますか」と聴かれて、「大丈夫です」と、言える人は多くはないだろう。だが、公務員は、お金を借りる際、有利である。銀行は安心して貸してくれる。退職金等の保証があるからだ。
 こうした感覚は一般の会社員にはない。先立つものが枯渇する中で、国から出された額が適切に必要な方に行き届くのだろうかと不安がある。お金に苦しんだ経験のある人でないと理解できない感覚がある。

 私は、縁あってドイツへ何度か出向き、いじめ予防プログラムの実態や行政制度を学んできた。今回の感染対応もよく比較して見ているが、スピード感や判断等学ぶことが多いように感じられる。
 「勤勉」という両国民の共通性はある。違いは文科省が州毎にあり、多くの国と隣接しているという点に注目したい。難民の受け入れや異文化との共存も実現している。

 一番の違いは、ドイツ国民は、自国の制度に安心感と自信を持っていると言うことであろう。いじめもあることを前提に対応している。
 日本人にはドイツ人からも尊敬される様々な面があるらしい。日本は島国とされては来たが、交通、経済、人の行き交いからすべてが隣接しているという状況になっている。
 ポイントは、政治家や行政の動きと判断、そして価値観、行動力の比較である。冷静に見極める事が主権者教育の生きた教材にすることが出来る。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」