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校長の実践的学校経営論 54人の校長が考え、実践したこと

16面記事

書評

宇田津 一郎・藤原 善行 編著
生徒指導から変革の対応まで

 経験者も含めて、54人の全国各地の高校の校長の論考を「理念・哲学を語り、率先垂範で生きよ―私の教育哲学論」「組織力を高め、改革を推進する―困難を乗り越え、課題解決を図る戦略」「全員参加で、活力ある学校をつくる―生徒・保護者・教職員・地域とともに」「未来を担うリーダーたちに伝えたいこと―変革の時代に向き合って」の全4章に収録した。
 進学校の普通科高校だけでなく、専門高校や私立高校など目配りし、執筆者は多士済々。多忙化や予算の縮小で全国組織での会合での校長同士の交流が十分でなくなっていると指摘される中、往時の校長同士の交流の濃さがネットワークには感じられる。
 一人一人の論考はA5判3~4ページ程度とコンパクトではあるが、経営ビジョンから経営の要諦、生徒の育み方、学び合う中で結束していく教職員集団の育成方法、地域との向き合い方など、論考には熱い思いが詰まる。
 高校教育が直面する時代の変化をどう乗り越えていくかも、論考によっては、主たるテーマとして対峙の仕方を示している。
 福岡県教委高校教育課長として出向経験のある文科省現役課長の巻頭論文「『出藍の誉れ』時代における高校教育と校長の役割」ともども、講話としてのヒントにも、課題解決のための処方箋、羅針盤にも活用できよう。
 ベテラン“校長”たちが後世に残す、指南書である。
(2484円 学事出版)
(吹)

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