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最強の「お父さん道」

14面記事

書評

子どもが自慢したいパパになる
向谷 匡史 著
親の自覚やしつけで具体例

 本書の出版意図について、著者は「子どもを自慢するのではなく、子どもに自慢されるお父さんになってほしい」から体験に基づく具体例を書く、と前書きで明言する。そしてその体験とは、僧侶であり、保護司であり、空手道場の館長という二足ならぬ三足のわらじを履く立場をいう。誰しも、どんなことを言いたいのかと興味が湧いてくる。
 ところで、本書の構成は父親の自覚、父子の絆、人生の師、子どものしつけ、触れ合い、子どもの奮起、危機管理をキーワードとする7章立てだ。章を見ただけでも読書欲がそそられるが、本書の「売り」はなんといっても分かりやすさと読みやすさであろう。具体的な事例は44項目にも及ぶが、平易な会話文を多用して語られている。それだけに、その場に居合わせたような感覚に陥るほどだ。そして、目頭が熱くなることがしばしばある。例えば第2章父子の絆では、小泉元総理が学校で目立たない子・進次郎氏をかばう場面が取り上げられる。接する機会が少なくても、子どもの本質さえ捉えていれば子どもに理解されるという好例だ。
 評者は古希を過ぎてしまった。もっと早くこの本に出合えていれば「お父さん道」も実践したのに…との悔いが残る。それだけに、今なら間に合う多くのお父さん方、本書でその道を究めていただきたいと切に願うものである。
(1620円 新泉社)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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