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政府「GIGAスクール構想」で全国一律のICT環境整備を推進

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無線LAN整備など、補正予算で2318億円を投入

「Society 5.0」時代の人材育成に向けて
 これからの学校教育には、「Society 5.0」時代に対応した高度な知識や技術をもった人材を育成することが求められている。そのため、来年度から小学校より順次完全実施を迎える新学習指導要領では、初めて「情報活用能力」が、言語能力、問題発見・解決能力などと同様に「学習の基盤となる資質・能力」として位置づけられることになった。
 その上で、子どもたち1人ひとりに「公正で最適化された学び」を実現するために期待されているのが、基盤となるICT環境の整備と、これらの先端技術・教育ビッグデータを教育に活用することだ。
 しかし、これまで全国の学校では思うようにインフラ整備が進んでおらず、自治体による格差も広がっている。したがって、文部科学省では2022年度まで単年度1805億円の地方財政措置を投入し、ICT環境を早期に整備する計画を進めている。

GIGAスクール構想の中身
 こうしたなか、政府が2019年度補正予算で、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する「GIGAスクール構想の実現」に、2318億円を計上するというニュースが昨年末に飛び込んできた。
 これは、令和時代のスタンダードな学校像として、全国一律のICT環境整備が急務になっていることを受けたもので、文部科学省が来年度の概算要求で計上していた、3年構想の「GIGAスクールネットワーク構想」事業に上乗せされるかたちになる模様。
 概要は、

 (1)校内通信ネットワークの整備=希望する全ての小・中・特支・高等学校等における校内LANを整備。加えて、小・中・特支等に電源キャビネットを整備。
 (2)児童生徒1人1台端末の整備=国公私立の小・中・特支等の児童生徒が使用するPC端末を整備。

 補助事業費は、児童生徒用端末が1022億円で、1台につき4・5万円補助。高速ネットワークの整備または整備計画とのセットが要件になる。
 また、ネットワーク関連の補助事業費は1296億円で、小・中・高等学校を対象に2分の1を補助。上限額は1校につき3000万円。ここには、工事を伴う幹線やサーバ、ルーター、ソフト等も含まれるほか、無線APは、ネットワーク整備と一体的に整備かつ固定設置の場合に補助対象となる。
 加えて、地方自治体が簡便に調達できるよう、仕様書作成の参考となるモデル例も提示。ここでは、機器の数量・スペックの算定方法なども示されている。たとえば校内LANでは、ハブやルーター、スイッチ類は1Gbpsの普及モデル。無線APは全教室で全児童生徒が一斉に使うことを想定し設置することを踏まえ、2・4GHz帯と5GHz帯が同時利用可能な機器で、大容量の動画視聴もストレスなく行えることなどが推奨されている。

「この機会を絶対に逃さない」
 萩生田文科大臣は「実現には各自治体の首長のリーダーシップが不可欠」とし、この機会を絶対に逃すことなく、教育機関・関係者が一丸となってICT環境の実現に取り組んでほしいとメッセージを送っている。直近の文部科学省調査では、普通教室への無線LAN整備率は未だ4割に留まっている。それだけに、今後の各自治体の動向に注目したい。

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