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保健室の先生に聞く 気になるあの子、気になるあのこと

16面記事

書評

澤 栄美 著
子ども、教員の困り感に具体的助言

 学校現場で勤務時、保健室の先生に脱帽することが多々あった。全校の児童・生徒のことを実によく把握している。子どもばかりではない。教職員や保護者に至るまで。情報を正確にキャッチし、報連相の徹底。「気になるあの子」「気になるあのこと」の情報は管理職に届けられ、適切な対応が可能となる。養護教諭は、まさに学校の要的存在だ。
 本書は、そんな養護教諭の立場から特別支援教育を中心として、子どもたち一人一人を大切にする教育を展開する教師への応援書の体を成している。著者は、長年現場で活躍し、豊かな専門性に加え科学的な視野をも持ち合わせている。何より、子どもと、そして教師へのまなざしが温かい。
 第I章「特別な配慮を要する子ども」で挙げられる事例には、「そうそう、その通り」「なるほど!」と思わず読みながら相づちを打つ。パニックを起こす子ども、すぐにキレてコミュニケーションが取りづらい子ども等々。そのような困りを抱えた子どもたちへの対応を、豊富な経験と確かな専門性に裏打ちされた支援の在り方として具体的に述べられている。
 第III章では、「保護者への対応」にも言及。学校現場では、保護者の対応に難しさを感じているケースが少なくない。現場を熟知した著者ならではの具体例を基にして対応策が挙げられており、必携の書である。
(1870円 さくら社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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