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一刀両断 実践者の視点から【第40回】

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「予算なし」で命は償えぬ

 千葉県八街市の事故をめぐり、《小学生死傷事故 急ハンドル切った形跡なし》(日本テレビ系(NNN))という見出しの記事が出た。すなわち加害者が虚偽の発言をしていたことになる。
 嘘を言えばえん魔様に舌を抜かれるのである。この嘘こそ、その人間の本質を露呈しているのではないだろうか。生き地獄のような重い処罰が下されなければならない。
 もっと気になるのは、ガードレールの要望を達成しなかった関係者の責任である。「予算がないので」で、命は償えるのだろうか。寝ぼけるのもいい加減にしてほしい。
 こうした発言をしそうな首長は全国の至るところに存在しているだろうから、首を洗っておくべきである。
 私もそうだが、危険で過去に事故が起きているのだから、地域を動かし、PTAも動かして、改善を目指した。何もしなければ教委は動かないことを確かめて仕掛けてきた。
 路側帯、ガードレール、歩道橋を設け、消防車の入れるようにするための門の拡張も、土地の買収も部局を動かしてやってきた。子どもの犠牲を出してはならないからである。
 教委からや校長会幹部からの逆風は何度もあったが、多くの協力を得てすべて実現が出来た。その後、意味のわからない処分もされて、人事で飛ばされた。上等である。
 お陰で今も学区の皆様に親しくして頂いている。あえて厳しく言うが、こうした気概を持って校長は行動すべきではないだろうか。何故なら、自分のために校長になったのではなく、子どものために校長になったはずだからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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