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国語授業の改革21 「対話的で深い学び」を生み出す国語科の教材研究力

21面記事

書評

教材研究の深さこそが「対話的な学び」「深い学び」を実現する
「読み」の授業研究会 編
授業記録、指導案添え具体的に解説

 どの教科を指導するにも、教材研究力を高めていかなければ子どもたちに付けるべき資質・能力が育まれるはずはない。とりわけ国語科は、付けるべき資質・能力を見極めないと、何となく言語活動をしているにすぎない授業になってしまわないだろうか。では、どうやって「教材研究力」を高めていくことができるのか。
 本書では、国語科の教材研究力を高める方法について具体的に次の3点を取り上げ解説している。

 (1) どういうことに気をつけると教材研究の質が高くなるのか
 (2) 教材の中のどこに着目すれば教材研究が鋭くなるのか
 (3) 着目した箇所をどう読み深め読み広げていけばよいのか

 ―この3点について、授業で使用する定番ともいえる教科書教材で具体的に解明されるので理解しやすい。授業記録と指導案が掲載されているのも魅力的。教材研究したことで実際にどんな発問を行い、子どもたちは学びを深めたかが実証されている。「質の高い国語科の教材研究」と記されているのも、うなずける。
 また、「読み」の授業研究会の設立者の一人でもある阿部昇氏が問題提起する「教材研究力を高める10の方法」は常に念頭に置き教材と向き合いたい。
 編者らは、教材研究力が「対話的で深い学び」の成立する鍵という。日々、真摯に授業改善に向かい、研鑽を積む先生方にぜひ手にしていただきたい一冊である。
(2530円 学文社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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