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みんなで考える国語の授業 対話的で、深い学びを創る

15面記事

書評

高原 史朗 著
子どもが身を乗り出す授業目指す

 本年度から高校の新学習指導要領が始まった。国語科においては「現代の国語」「言語文化」が新設され文学の扱いが少なくなったことは記憶に新しい。
 大西忠治氏らが創設した「読み研」の方法論に傾倒した著者が、生徒たちと共に文学を読み解く実践が多少なりともの反証となることを願って書いたという。ヘルマン・ヘッセ、太宰治の文学を子どもと共につくる授業の具体像は、第2章「文学の授業をつくる」にある。それらは、著者が「子どもたちが身を乗り出すような授業」を目指し「まずはひとつ」を目標に取り組んだ実践でもある。
 3章構成の第1章は「最初の2週間」。最初の授業から8時間目までの実践の記録に、新しい学年のスタート時を対話的な授業を展開させる素地づくりとして取り組む、著者の学級経営・指導観が見える。
 授業場面を観察した若手教師が質問し、授業者が答えるスタイルで書きつづられており、著者が何を大事にしているのか理解できる。
 「教師は、授業をしながら生徒たちとずっと教材研究を続ける」「時には自分の考えにない観点を取り入れながら、日々アップデートしながら授業を作り続ける」とは、どういうことか。教師の魅力を伝えてくれる一冊である。
(2200円 高文研)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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