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一刀両断 実践者の視点から【第291回】

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「特別支援」の教員免許状めぐる課題

 《支援学校免許所持率、上昇するが鈍化》という見出しの記事を拝見した。正直に言って当然と思えた。これまでもその必要性は指摘されて来たが文科も教委も改善の本腰は入れては来なかった。
 通常学級で担任が務まらない教師の異動の場として特別支援学級や支援学校が勧められていた事実がある。本来ならばその逆でなければならないが、児童生徒にとっては大変失礼な現実があった。
 大人数では無理でも相手が数人なら仕事が出来るのではないかと考えたからである。その際に普通免許しかない場合が予想されるので望ましくはないが容認して来た。
 特別支援学級担任にする場合、担当する人数は7名前後となり障害も多様になる。それを普通免許でやるのだから、本来求められる力量は群を抜いていなければならない。しかし、そうはなっておらず候補者を校内で探すしかないのである。
 給与も割増されるとは言っても該当者がすぐ決まるものではない。
 教育実習に来た学生が支援学級に熱心に関わっていたので、教採にも合格できるよう応援し、家も近く家庭の事情もあったので自校に採用して支援学級を持つ条件で進めていたが、いざ分掌を提示すると顔色ひとつ変えずに手のひらを返して見事に裏切られた事があった。
 これにはいささか驚いたが、笑顔の先のしたたかさに行く先の不安を感じた事を思い出す。
 すなわち免許を所持する事は出来てもその適性までは審査できていない事への不安は解消されはしないのである。その人間性を鍛錬する為にも養成段階での工夫が必要に思えてならない。その肝がすっぽり抜けてはいないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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