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教育観を磨く 子どもが輝く学校をめぐる旅

16面記事

書評

井藤 元・苫野 一徳・小木曽 由佳 著
常識覆す4校の実践と当事者の声

 本書は著者3人が、常識を覆すような教育を実践している4校を巡り、当事者との対話を通して、一般的な教育・学校システムに慣れ親しんだ教師を目指す人や教育関係者の「あたりまえ」を揺さぶる書である。「(この本を読むという)旅から戻り、元いた自分の場所に立った時、目の前の教育がこれまでと違って見えるとしたらしめたものです。ひとたび反転を体験すれば、知る前にはもう戻れないはず」と言う。
 教員の多くは自らの学校体験をベースにしながら職場環境に合わせて教育実践を積み重ねる。しかし、著者は、それでは、「私」視点で狭小化に陥る危険性をはらんでいると旅をスタートさせた。
 登場するのは北九州子どもの村小学校・中学校や長野県伊那市立伊那小学校、愛知県の三河サドベリースクール・シードーム、横浜シュタイナー学園。本書では各校の当事者を「ナビゲーター」と呼び、どうしてその学校にたどり着き、今何を求めて教育活動を積み重ねているのか―を尋ねていく。語られる日々の喜びや苦悩、葛藤などの言葉の一つ一つに、人間らしい揺れと信念が混在している。教育には完璧はない。多様性に満ちていることに改めて気付く。そして、4校に共通するのは子どもを「信頼して、任せて、待って、支える」大人たちがいることだ。
 自らの教育実践と教育観を見直すことのできる一冊である。
(2420円 日本能率協会マネジメントセンター)
(田畑 栄一・元埼玉県公立小学校校長)

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