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中教審議論受け有志ら会見「調整額増額の方針撤回を」

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 中央教育審議会の特別部会が教職調整額を10%以上へ引き上げる方向性を示していることを受け、現役教員ら有志が19日記者会見を開き、教職員給与特別措置法(給特法)の廃止を求めた。教職調整額の増額に残業抑制効果はないと指摘。残業を減らすための方策の必要性を訴えた。
 中教審の会合前に開いた会見で現役高校教員の西村祐二さんは中教審の方針について「4%定額働かせ放題を、10%定額働かせ放題にするだけ」と批判。「残業を減らすための改正をしてほしい」とし、教員や教員志望学の声を聞いた上で教職調整額増額の方針を撤回するよう求めた。また、給特法の議論を今回で終わりにするのではなく、今後も継続して検討してほしいと訴えた。
 立教大学の中原淳教授は、中教審の議論は教員の働き方の見直しや人手不足の解消という目的を見失って、教職調整額の増額という落としどころへと向かう「出来レース」に見えると話した。
 長時間労働を改善するには

 (1)時間外労働への支払い
 (2)管理職が時間管理の責任を持つ
 (3)それらが機能しているか監視する機関の存在

 ―の三つが必要だが、学校ではその仕組みの大部分が機能していないと指摘。給特法の廃止または大幅な見直しが必要不可欠だとした。
 教員志望の宇惠野珠美さんは「教員が行う必要があるのかと疑問に思うような業務が多すぎて教員を諦めた人を多く見てきた」と述べた。その上で「学生が安心して教職を目指せる社会になってほしい。そのためにまずは給特法を廃止して、長時間労働を是正してほしい」と話した。
 都内公立中学校教員の五十嵐夕介さんは「教職調整額を増額すること自体に労働時間を抑える効果は全くない。これまで通り夜遅くまで働く先生たちの姿が容易に想像できる」と述べた。「もっと児童・生徒と向き合う時間が欲しい、もっと教材研究をしたい、もっと学びたいという願いは、この先も叶わないのではないか」と懸念を示した。

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