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ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ

12面記事

書評

コレクティブな協働なら解決できる!
SDGs時代の複雑な社会問題
佐藤 真久・広石 拓司 著
協働実現の壁や処方箋示す

 今、学校現場では「協働」が一つのキーワードになっている。「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度の育成」「他者と協働しながら自分の答えを見いだしていく思考力・判断力・表現力」…。新学習指導要領の基となった中央教育審議会の答申(平成28年)には、こんな言葉がちりばめられている。
 「協働」は同じ目的に向かって、よって立つ所の異なる者たちが対等の立場で協力して、共に働くこと―が辞書的な意味合いだ。
 本書は、複雑な社会問題の解決に向けて「ソーシャル・プロジェクト」として取り組み、「協働」を成功するための道筋に位置付ける。
 第I部「ソーシャル・プロジェクトの成功に求められる視点・視座」では理論的な部分を説き、第II部「コレクティブな協働ガバナンスの考え方・進め方12ステップ」で具体的な「協働」手法を提示する。
 各ステップの示し方は「このステップの位置付け」から始まり、「ぶつかりやすい壁」を挙げ、「協働の考え方のシフト」でその処方箋を、「実践・確認しよう」でチェック項目を理解して、「このステップで実現したいこと」を明らかにする構成でまとめている。乗り越えるべき「壁」は、相当の知恵と苦労が必要になることが実感できるだろう。
 教室での「協働」は、こうした困難を乗り越える芽を養うものであってほしい。そのためには指導者も「協働」観を深めたい。
(1944円 みくに出版)
(徳)

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