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カリキュラム・マネジメントと教育課程

14面記事

書評

未来の教育を創る教職教養指針6
金馬 国晴 編著
歴史的位置付け、先進的取り組みも

 カリキュラム・マネジメントとは、「各学校が教育目標のよりよい達成のために、カリキュラムを創り、動かし、よりよいものへと変えていく営み」(本書42ページ)である。
 教える側の教師の立場からカリキュラムを捉えたとき、教育課程の編成が課題となる。何を教えるかの計画、どこまで学習させるかの基準を設けて、確実に実行していくことが求められる。他方で、学ぶ側の児童・生徒の立場からカリキュラムを捉えたときには、過去の学びの履歴であり、自らの目標の達成に向けた将来の学びの軌跡となる。
 カリキュラムや教育課程をつくっていくときに、文科省が定める学習指導要領は国レベルの「基準」となる。その位置付けをしっかりと見極めるには、学習指導要領の歴史的変遷を理解することが不可欠である。本書では、そうした点について、各章を通じて把握することができる。また、近代学校が成立する以前から新教育に至るまでの教育史を通じて、カリキュラムの歴史的位置付けを学ぶ章も設けられている。さらに、カリキュラムの類型・モデルと単元開発、「総合的」な学習と横断的カリキュラム、生徒・教師・保護者の三者協議による自主編成と学校づくりの章もある。カリキュラムについて、カリキュラム史という縦軸とカリキュラム論という横軸から理解を深めるのに本書は最適と言える。
(2160円 学文社)
(都筑 学・中央大学教授)

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