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学校が「とまった」日 ウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦

18面記事

書評

中原 淳 監修
田中 智輝・村松 灯・高崎 美佐 編著
学びの継続に必要なものを追究

 本書は、コロナ禍に遭遇し、「臨時休校」というかつてない事態が現出したことをきっかけに誕生した研究プロジェクトによる報告だ。
 一斉休校要請を受けた令和元年度末の期間を前半、2年度に始業式を迎えた時期からゴールデンウイークまでを中盤、それから5月末までを後半と区分し、中盤の最後の時期に高校生、後半の最後の時期に小・中・高校生と同居する保護者にそれぞれ実施した調査結果や、公私立校の教員、生徒、保護者、子どもの支援団体に関わる人々へのインタビュー、関係者の座談会などで構成した。
 明らかにしようとしたのは、教科学習などの狭義の学びの他、経験、態度、習慣の獲得、形成などの広義の学びと、これらの学びから生じる学びのネットワーク(つながり)の支援に必要なものは何か、についてである。
 昨年度末の休校期間、新年度を迎えて緊急事態宣言後の長期にわたった空白期間に、学校とは何か、学びとは何かを問い直しをした学校関係者も多かろう。その解は、時を経て得られたろうか。
 生徒、保護者、教員らの意識、思いから、「学びをとめない」ための要諦を導き出していく本書は、それぞれが抱いた疑問への解を探る上で示唆に富む。
 それはまた、平常時の学びの支援に必要なことと気付かされる方も多いのではないか。
(1870円 東洋館出版社)
(矢)

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