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一刀両断 実践者の視点から【第12回】

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殺害事件に思う幼児教育の大切さ

 《火事で死亡の男性会社員 別の住人と“生活音”トラブル/大阪・女子大生殺害》(FNNプライムオンライン)というニュースが流れた。
 私がこの二人の担任だったらどのようなコメントを出すだろうか。死ぬつもりで犯行に及び用意周到な計画的な殺害だったことがはっきりしてきた。
 どの人にも義務教育の期間があるのだから、担任や同級生はいるはずである。
 隣の住人やこの建物自体に継続して住むことを嫌がる人も出るだろうからオーナーの心労は計り知れない。
 人を殺して自らも死ぬという行動がなぜ生まれるのか。いつ生まれるのか。
 人は、先にインストールされた内容が印象深く残るという。最たるものがゲームや映画やニュースなどではないだろうか。心を制御する徹底した人間モラルを浸透させていないと、命の尊さも刷り込まれない。これはいつすべきなのだろうか。
 小学校入学後では遅いように思える。幼児期の家庭でしないと間に合わないのではないだろうか。それをされていない。
 ある意味、人の幸不幸や生き死にさえも左右する基盤を作るのが幼児期の教育である。保育所、幼稚園、こども園、学童などに最大限の予算と人材を投入しない、させない政治家や行政、さらに学者など、それを認めてきた私達国民の愚かさが露呈しているように感じてしまう。
 3つ子の魂100までという言葉が頭をよぎる。殺したい、殺されたいなどの心はいつ、どのように、どこで育つのだろうか。本能ならば制御できるのは教育、特に幼児教育に最大の力点を置かねばならないのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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