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一刀両断 実践者の視点から【第14回】

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論説・コラム

免許更新制による大損失

 更新を忘れて教員免許状を失効した人に対して、教育委員会が事実上の救済措置を講じるという報道がある。そのハードルはかなり高いように感じられた。好きで失効させたわけではない人に、失効すなわち失職させる事が許されるのだろうか。あまりに理不尽で横暴と指摘したい。
 教員免許の更新により、一番の利益を得るのは誰だろうか。そう考えると、本来の意義とは異なる構図が見えてくる。
 この問題に対して、組合は何をしているのか。今こそ本来の使命を感じて行動すべきではないだろうか。文科省の下請けが教委であり教師なのだろうか。学習指導要領は要点を示しているのであってやりようによっては学校現場での裁量権はかなり広い。そのマネジメントが出来ないため窮しているのではないだろうか。すなわち削り落とすのである。何でもやるのではなく、あえてやらない事を決めるのである。
 更新講習に料金を支払って出掛けた職員に感想を聴いたが、期待を越えるものではない事は明らかである。こうした愚策で人材を失うことは教育界の大損失になっていることは間違いない。こうした実態に政治家や地方行政の責任者は何故改善をしないのか。ある意味その忙しさが、教員相互の交流時間を減少させ、結果として不祥事に繋がっていると言えまいか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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