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対話型論証による学びのデザイン 学校で身につけてほしいたった一つのこと

16面記事

書評

松下 佳代 著
「深い学び」の方法論を提起

 コロナ禍で活動が制約される中、教師たちは新学習指導要領の目指す「主体的・対話的で深い学び」をつくるために努力している。最も難しいのが「深い学び」の実現であろう。
 タイトルの「対話型論証」の文言に惹かれて本書を手に取った。対話型論証とは、著者の造語で、「ある問題に対して、他者と対話しながら、根拠をもって主張を組み立て、結論を導く活動」のこと。著者は初等教育から高等教育まで多くの実践研究に関わる中で、身に付けてほしいことに共通性があることに気付き、育成が求められている「問題解決」「論理的思考」「批判的思考」「コミュニケーション」などの要素を「対話型論証」というひとまとまりの活動として示したのがミソだという。
 本書は「第I部 理論編」「第II部 実践編」の2部構成。理論編では、対話型論証のモデルである、「トゥールミン・モデル」や「三角ロジック」とそれを取り入れた国語科等での実践を引きながら「対話型論証モデル」にまとめていく過程が図を多用して述べられている。実践編では、中学・高校におけるダイナミックな授業の実際と、大学教育での試みが紹介されている。教師が「学びをデザインする」力を伸ばすことによって生徒・学生の学びの質が高まる様子が伝わってきて刺激的である。濃い内容で、深い学びをつくろうと考える意欲的な教師に読んでもらいたい。
(2200円 勁草書房)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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