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一生使える国語力 3歳から12歳までに身につける「読む・話す・書く」教室

14面記事

書評

山口 謠司 著
発達段階に応じた実践を紹介

 「SNSなどでは自分たちのグループだけで分かる言葉が飛び交っている。日本人は、そういう言葉を作り出すことには長けているが、論理的に他者に向かって伝えるということに対して非常に弱い」。これは、3章「日本語とは何か?」の一節である。著者は、なぜ「日本語」ではなく「国語力」について語るのか。
 本書は8章構成。第1章「母国語の仕組みを学ぼう」に始まり、第4章から第7章は実践編として、「読む・話す・書く」について四つの時期に分けた解説がある。3歳から小学校入学まで、小学校低学年、中学年、高学年という段階になってはいるが、大人でも日本語とは何かを考え、自らの国語力を見直しながら読み進めることができる。
 実践編では、太宰治「走れメロス」、夏目漱石「坊ちゃん」やロシア民話「大きなかぶ」など著名な作品を例とした論の展開があり、文学の魅力が再発見できるのも楽しい。「教室」の名のごとく思わず音読したくなる構成も魅力だ。
 主語が曖昧で長く、終わりまで聞かないと何を言いたいのか分からないといわれてきた私たち日本人。「言いたいことがあるのに言えない」「うまく表現できない」と悩まないためにも絶対に身に付けておかなければならない力「国語力」とは何かを考えたい。
(1650円 笠間書院)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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